さぁ冒険だ
さぁ冒険だ。
僕らは世界を救う旅に出た。
帰ってきた時に君が笑顔でいられるように
僕らが世界を救うんだ。
さぁ冒険だ。
僕らは世界を救う旅を終えた。
帰るまでが冒険。
帰って君が笑顔で迎えてくれるのが楽しみだ。
僕らは世界を救ったんだ。
さぁ冒険だ。
僕らは老いた。
新たな世代の勇者たちを背後に、
帰ることのない冒険へ。
一輪の花
その花は、日の上る丘の上に咲く。
たった一輪、その丘に咲いていた。
光を浴びて、大きく、美しく咲き誇っていた。
まるで、1人で輝く君のようだった。
日は沈み、丘を闇が包む。
たった一輪、その花は枯れていた。
闇に包まれて、孤独にその顔は下を向いていた。
まるで、枯れてしまった君の命のようだった。
だからこそ、君の隣に一輪の白百合を。
まだ、枯れない白百合を。
僕もまた、いつかは一輪の花のように枯れていく。
全ては、枯れていく。
この世界も、まだ枯れない君も、全て。
また土に還るだけだ。
そしていつかまた咲き誇る。
魔法
もしもまほうがつかえるなら
ぼくはそらをとんでみたいな。
そらがとべれば
ほしがすきなきみもきっとよろこぶとおもうから。
ほら、流れ星だよ!…あれ、どうしたの?
もしもま法が使えるなら
ぼくはしゅんかんい動をしたい。
しゅんかんい動ができれば
遠くに行っちゃったきみにも会えると思うから。
ねえ、どこに行っちゃったの?
もしも魔法が使えるなら
僕はただ一度、もう一度でいいから
君に会いたい。
きっともうどんな魔法でも無理かもしれない。
それでもいつか会えるまで、
まっててね。
『星になった君へ』
夜空を駆ける
僕らは流星じゃないから、
夜空を駆けることはできないけど。
夜空のような光の散る闇の中を駆け抜けていく。
いいことばかりじゃない。
嫌なことだって何度も何度もある。
それでもいつかその命が燃え尽きるまで。
僕らの人生なんて星達にとっては一瞬の出来事だ。
その一瞬を必死になって。
その命を必死になって。
僕らは流星のように一瞬の夜空を駆け抜ける。
ほら、となりにはきみというなのながれぼしがいる。
だから、ひっしになれる。
またぼくらはひっしにいきてく。
よぞらにあこがれた
しょうねんじだいのように
かけてく。
ひそかな想い
いつも私は自分を偽って彼女たちといる。
ほんとはやめてほしい。
いじっているだけのつもりだろうけど、心が痛む。
「やめなよ!」
声を上げたその時。
彼女たちのどこまでも赤い目がこちらを向いた。
いつも僕は自分を偽って彼女達といる。
本当はやめてほしい。
いじってるだけのつもりでも、心に痛みが響く。
「やめなよ!」
…助けてくれた優しい少女。
今度は僕が助けるべきだ。
口を開こうとした瞬間、
少女は澄んだ青い目でこちらを向き、
人差し指を口に当てた。
"しー"
そして僕は声を上げられなかった。
僕は彼女みたいに強くは、優しくは、なれなかった。
きっと僕の目も、果てることのない赤い目だ。