『キキーッ!!!』
車の大きなブレーキ音が聞こえたかと思い聞こえてきた方を振り返る。
その車は俺の右側から此方へ突っ込んできた。
(あ、これ死んだな)
そう思うと、急に時が止まったように世界が変わった。頭の中に流れ込んでくるのはあの遠い日の記憶たち。保育園の記憶から、小学生、中学生、大変だった高校生の記憶がフラッシュバックする。
頭の中に鮮明に映るのは、俺が所属しているアイドルグループのメンバー。高校生で暗い世界に居た俺を、救ってくれた2人。仲間のアイドル達も浮かび上がる。
(……また、迷惑かけちまう)
時の止まった景色が再度色を増してくる。そして、俺は初めて車に轢かれた。頭に強い衝撃が走る。
(ファンの笑顔をもっと見ていたかった……)
俺は諦めたように目を閉じた。
今日も優れない天気だなぁ。
そう思い今日もまた、文を書きにこのアプリへと来ている。
折りたたみ持ってきてないや、とか部活終わったあとに降ってたらどうしよう、だとか色々考えることもあるが色々考えることもあるが、私は走り出さないと行けない。
なぜなら電車に遅れそうだから。
毎日のようにこれを繰り返す自分が、天気と重なって不意に嫌になった。
「終わりにしようぜ、この関係」
今日の夜、セフレの彼にそう伝えられた。いつもの彼には見られない、苦しそうな気まずそうな表情。おれは何も返せず黙ってしまう。
「こんな毎日ヤるだけの関係なんて、テメェももう飽きただろ。潮時かと思ってな」
そんなことないだろ、という言葉は心の中で留まってしまう。おれは決してそう思ってない、そう伝えたいのに。何故か言葉が出ない。
ついにベッドから降りようとしだす。堪えきれなくなり、反動のまま彼の腕を掴んだ。
驚いた彼をそのまま押し倒し、その上におれは倒れ込んだ。
「……やだ、やだ!お前と離れるのだけはやだ!まだずっと一緒にいたい……ねぇ、おれお前が好きなんだよ。セフレの関係はもうおれも飽きた、だからさ、おれと付き合ってみない?」
涙を流しながらそう発す。突然の出来事に彼は驚いた表情のまま固まっている。おずおずとおれの方に手を出すと、数分の間、ずっと頭を撫でられた。