宇宙人が攻めてきたり、隕石が落ちてきたり、火山が大噴火したり、人類滅亡の危機的な映画は沢山あるけれど、私はある日突然空気中の酸素が消え失せたら……?という妄想をします。
戦ったり逃げたりする間もなく一瞬で全部死ぬ。怖い。
記憶の海はいつだって緑色だ。
砂浜もざらざらと荒く、小石や雑草が混ざっている。
波は荒く、常時強い海風が吹きすさぶ、海水浴なども出来ない何もない海辺だった。
だから、海のある町で育ったわりに、私には海に行った記憶が殆どない。
海派、山派なんて言うけれど、実際海に向いた人間、山に向いた人間に分かれるのだろう。私は完全に後者なのだ。
それでも、私自身の記憶の海の中に、あの海の色は溶けているのだろう。
海の絵を青色で塗る度に、
(本当は緑色なんだけどな)
と頭の片隅で私が囁くのだ。
普通とは違うかもしれない?
そんなことないよ。
ただ君だけちょっと先生の話を聞く時に体育館の天井を眺めて忍者の妄想をしていたり、君だけ床のニスのつるつるの感触を楽しんでいただけだよ。
私もそうだったよ。
未来への船
泥舟でも
笹舟でも
豪華客船でも
否応無しに船は進んでいく
未来という未知の大陸へと向かっていく
静かなる森へ
日本ではほぼ森イコール山になると思うので、少し外れるが山の話をしよう。
ド田舎の夜の山を見たことがあるだろうか。
人の手が入ったキャンプ場などではない、何もないただの山。田舎民で山は近くにあるが、そこそこ民家のある山しか知らなかった私は本当に何もない山を見た時にびっくりした。
そこは足がすくむ程に真っ暗で深い深い黒に塗りつぶされており、ああこれが昔の人が妖怪や物の怪を見いだした闇なのだな、と納得するくらいの恐ろしさを内包している。
山そのものが畏怖すべき巨大な怪物のようだ。
そして夜の山は驚くほど静か、ではない。むしろ、その音量にびっくりするくらい虫の音がオーケストラの如く鳴り響いている。この山一つに一体何匹の虫が住み着いているのだろう?数えたくはない。
更に虫の声とは違う、何か…唸るような、鳴き声とも言い切れない何かに、風に木の葉が擦れるざわめきは静かとはほど遠いものだ。
静かなる森へ心を休めに行こう、と思っている人、夜の山はおすすめしない。