Namimamo

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2/8/2025, 1:38:21 AM

誰も知らない秘密、なんて言うと大層なことのように聞こえるけれどさ、意外としょうもないことが多いんじゃないかな。
誰もが知っている秘密の方が怖いよ。
誰もが知ってるなら秘密じゃないって?みんな知ってるのに言えないこと、世の中には結構あるんだよ。残念ながらね。

って、マックで隣の席の女子高生が言ってた

2/6/2025, 12:07:12 PM

静かな夜明けを私は知らない。

だって、夜明けは意外と騒がしい。

一番に聞こえてくるのは新聞配達のバイク音。
空がうっすら白み始める頃に耳を擽る小鳥の鳴き声。
更に、明るくなるにつれてなんとなくザワザワし始める街の空気。

これが、という明確な音ではない。

それは、遥か遠くの道をゆく車の走行音。
それは、向こうの山で眠っていた動物が顔を上げる音。
それは、夜露に濡れた植物が水滴を落とす音。
それは、家の中の私が寝返りをうった音。
そしてすべての生き物が呼吸をする音。

朝の光を受けて動き出す、ありとあらゆる物の発する微かな音が世界を満たし、空気に乗って伝わり、今日を告げるのだ。

静かな夜明けを、私はまだ知らない。

だけど。

She is Kana, you are Ken

を流暢に発音すると、静かな夜明け に聞こえると思ったんだ。







2/5/2025, 12:25:26 PM

heart to heart

心から心へ、か。
今宵はまた一段とロマンチックなお題だな。私はスマホへボチボチと入力を開始した。

『目から目へ、手から手へ、そして心から心へ。貴方への想いを最短距離で伝えるには、どのルートを辿れば良いのだろう──』

とかなんとかかんとか。

意味があるようで特にないポエミーな言葉を連ね、悦に入ったところでふと手を止める。

お題は英語である。
私の現在の英語レベルは高く見積もっても高校受験程度。念の為に調べた方が良い。絶対に。


結果。

heart to heart
「お互いに腹を割った話し合い、率直な」



──瞬間、私の脳内に旅館の浴衣姿の大泉洋が現れた。そしてそこへ
「腹を割って話そう!」
パーン!と腹を叩きながら同じく浴衣姿の藤村Dが突入して来る。

ああもう駄目だ。わかる人にはわかるだろう。水曜どうでしょうの始まりだ。
貴方への想いがどうたらどころではない。
水曜どうでしょうの名ゼリフに勝てるポエムなどこの世には存在しないのだから。


heart to heart 〜腹を割って話そう〜

まあ、英語の慣用句を一つ覚えたので良しとしよう。

脳内にどうでしょうを繰り広げたまま、私はアプリを閉じた。

2/4/2025, 12:55:03 PM

ある日花束が言いました。

永遠、私は貴方が羨ましい。貴方は沢山の名前を持っている。
永久、とこしえ、久遠、永劫、恒久、悠久、不朽、永世……どれもとても美しく気高い響きの、人を惹きつけてやまない言葉たち。
それに比べて私を表す言葉は一つだけ。
花束。ただ一つのそれだけ。
私は貴方が羨ましい。


永遠は答えて言いました。

花束、僕こそ君が羨ましい。
僕の呼び名が定まらないのは、僕の持つ意味が捉えどころのない、形のない物だから。
人によって、場所によってその意義も使い方も変わってしまうからこそ、皆それぞれに様々な名で僕を呼ぶ。
それに比べて君はいつだって確固たる意味と存在を持っている。花を束ねた物である君はいつの時代の誰が見たって美しい。
僕は君が羨ましい。


花束は笑って言いました。

どうやら私達、お互いに無い物ねだりをしているね。

永遠も笑って言いました。

そう、もしかして僕たちは互いを補い合えるのかもしれないね。

そうして永遠と花束は歩み寄り、ひとつの言葉になりました。


永遠の花束。

2/3/2025, 11:27:37 AM

「やさしくしないで」
なんて言わないでよね
実際に厳しくしたら泣く癖に
諫言を受け入れる覚悟もない癖に


「ダメな僕を叱って」
なんて言わないでよね
本当に叱ったら顔をしかめる癖に
ダメな自分に酔ってるだけな癖に


「ずっと側にいて」
なんて言わないでよね
現実にそうなったらうざがる癖に
雰囲気に溺れて言ってみただけの癖に


「君を守ってみせる」
なんて言わないでよね
何から守るのかも挙げられない癖に
リアルに敵が襲って来たら逃げ出す癖に

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