heart to heart
心から心へ、か。
今宵はまた一段とロマンチックなお題だな。私はスマホへボチボチと入力を開始した。
『目から目へ、手から手へ、そして心から心へ。貴方への想いを最短距離で伝えるには、どのルートを辿れば良いのだろう──』
とかなんとかかんとか。
意味があるようで特にないポエミーな言葉を連ね、悦に入ったところでふと手を止める。
お題は英語である。
私の現在の英語レベルは高く見積もっても高校受験程度。念の為に調べた方が良い。絶対に。
結果。
heart to heart
「お互いに腹を割った話し合い、率直な」
──瞬間、私の脳内に旅館の浴衣姿の大泉洋が現れた。そしてそこへ
「腹を割って話そう!」
パーン!と腹を叩きながら同じく浴衣姿の藤村Dが突入して来る。
ああもう駄目だ。わかる人にはわかるだろう。水曜どうでしょうの始まりだ。
貴方への想いがどうたらどころではない。
水曜どうでしょうの名ゼリフに勝てるポエムなどこの世には存在しないのだから。
heart to heart 〜腹を割って話そう〜
まあ、英語の慣用句を一つ覚えたので良しとしよう。
脳内にどうでしょうを繰り広げたまま、私はアプリを閉じた。
2/5/2025, 12:25:26 PM