ある日花束が言いました。
永遠、私は貴方が羨ましい。貴方は沢山の名前を持っている。
永久、とこしえ、久遠、永劫、恒久、悠久、不朽、永世……どれもとても美しく気高い響きの、人を惹きつけてやまない言葉たち。
それに比べて私を表す言葉は一つだけ。
花束。ただ一つのそれだけ。
私は貴方が羨ましい。
永遠は答えて言いました。
花束、僕こそ君が羨ましい。
僕の呼び名が定まらないのは、僕の持つ意味が捉えどころのない、形のない物だから。
人によって、場所によってその意義も使い方も変わってしまうからこそ、皆それぞれに様々な名で僕を呼ぶ。
それに比べて君はいつだって確固たる意味と存在を持っている。花を束ねた物である君はいつの時代の誰が見たって美しい。
僕は君が羨ましい。
花束は笑って言いました。
どうやら私達、お互いに無い物ねだりをしているね。
永遠も笑って言いました。
そう、もしかして僕たちは互いを補い合えるのかもしれないね。
そうして永遠と花束は歩み寄り、ひとつの言葉になりました。
永遠の花束。
2/4/2025, 12:55:03 PM