伊月はる

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11/11/2024, 1:15:16 PM

 私たちは18になると背中に翼が生える。翼は左右どちらかしか与えられないから、大抵の子どもはパートナーをみつけて大人の国に飛び立つ。大人の国は空の高いところにあって、そこではどんな望みも願いも叶うらしい。私に与えられたのは右手側の翼で、私の友人に与えられたのも同じ右手側の翼だった。友人は翼が生えるや否や手頃なパートナーを見繕ってさっさと飛び去ってしまった。残された私は、ただ茫然と青い空を振り仰ぐ日々を過ごしている。#飛べない翼

11/9/2024, 1:29:42 PM

 1日に満足して眠る夜のように、死の間際、脳裏に浮かぶのが君の笑顔だといいなと思う。暖かい手をぎゅっと握る。#脳裏

11/3/2024, 1:35:56 PM

 お母さんのお腹の中で私たちは双子だった。だけど、この世に生まれてくることができたのは私だけだった。鏡の中の自分を見ると、生まれてこれなかったもう一人の私のことを思い出す。鏡の向こう側の手のひらに自分の手を重ねてみたけど、お母さんが毎朝ピカピカに磨いている鏡は、ひんやりと冷たかった。授業が終わって起立令をしてるとき、近所の河川敷をぷらぷら歩いてるとき、たまに背後に視線を感じてわっと不意打ちに振り返ることがあるけど、誰もいない。大人になったら、こんな気持ちも忘れてしまうんだろう。だからせめて大人になるまでは、生まれてこれなかったもう一人の私に、想いを巡らせていたいと思うんだ。#鏡の中の自分

11/3/2024, 6:48:11 AM

 眠りにつく前に考えたことを、翌朝さっぱり思い出せないのはどうしてだろう。深刻で壮大な悩み事とか、傑作になりそうな物語の筋書きを考えていた気がするのに、記憶がまったくない。眠りにつく前に考えていたというよりかは、寝ぼけながら考えていたと言う表現が適切なのかもしれない。#眠りにつく前に

11/2/2024, 1:24:19 AM

 宇宙にですら終わりがあるのだから、永遠なんてまやかしだ。けれどまやかしだからこそ、永遠を追い求める人々の姿には、胸を打たれるものがある。#永遠に

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