とある作家が、作品の中で楽園を見た男の話を書いていた。
その男の見た楽園は、確かに楽園と銘打つに相応しいもの。おそらく、世界の大多数が願っている環境だった。
しかし、「幸せ」「好み」「楽園」…自分に良い気持ちをもたらすもの、「不幸せ」「嫌い」「地獄」…自分を嫌な気持ちにさせるものはその人によって違う。
私にとっての楽園はなんだろう。
現実ではない環境がそれに当たるかもしれない。
家族仲が良かったあの頃?
子どもでいられたあの頃?
魅力的だが、それは引きこもっていたい時代だから楽園ではない。今となっては憧れる過去である。
好きなときに好きなものが側にあって、食べたいときに食べられるような…。
碌でもないな。今のナシ。
流れ星に、願いを3回唱えれば叶うらしい。
なんともロマンチック。
なんとも子供だまし!
「あんな一瞬で、言えるわけねぇだろがー!」
頭の上で、星が流れた。
一昨日は晴れ。
思い切り喧嘩したから。
昨日は曇り。
仲直りしたいけど、どうすればわからなかったから。
今日は、雷。
仲直りしたいのに、話を聞いてもらえないから。
こどもというものは、好奇心のままに動く。
その結果、思った結果にならずにもどかしく思う。
好奇心のままに相手に思ったことを伝え、自身はスッキリしても相手は雷を抱えたまま。
沈んでいるその子の心は天気のよう。
どうか、諦めずにほんの少しの光を差せますように。
今日の心模様
生きているのに届かない。
話しているのに相手が理解しようとしない。
それでも、同じ屋根の下で生きていかなければいけない。
家族で暮らすためのルールをわかってほしい。
それを相手はわかってくれない。
私の想いが届かない。
家族とは、幸福であり呪いである。
「覚悟しろ、魔王!
お前を倒して、この世界に平和を取り戻す!」
「よくぞここまで来た、勇者よ!
この魔王にひれ伏すがよい!」
勇者は始まりの村から、
魔王は封印から解き放たれた時から。
何度、世界を救う旅に出たことだろう。
何度、世界を滅ぼそうとしただろう。
決まりきっている運命をなぞることに、両者は何を思うのか。
わかっていても、どちらも後に引かない。
勇者の旅には誰かの背中を押すための勇気を、
魔王の支配には目的のために立ちはだかる障害が存在することを見知らぬ誰かに伝えながら、それ以外を知らずに終わりまで進み続ける。そうしてまた旅立ち、封印から解き放たれる。
これからもずっと、そうして戦い続ける。