月夜
「あー寒」
前よりかは暖かくなったがまだ夜は少し寒い。
窓から見た月が綺麗でつい外に出て来たがやっぱりそのまま部屋で見てれば良かった。
一人でも寂しくは無かった筈なのに最近は人肌が恋しく思える。それを誤魔化す様に煙草を出しライターで火を付ける。
身体に良くないのは分かっているがどうしても吸いたくなってしまうのだからしょうがない。
最初は煙くて苦手だったが今では馴染みの感覚。ゆっくりと煙を吸って吐く。
煙は空高くまで上がっていつかは月届きそうだ、何て馬鹿な事を考えてしまう位綺麗だった。月を見ながら煙草を吸っているだけなのにどうしてこんなにも綺麗なのだろうか。そんな疑問もいつの間にやら煙草を吸う至福の時間で吹っ飛んでいった。
最初は何となくで吸っていたが今では吸わないとな落ち着かない。煙草を吸っていないと口寂しくもなるし落ち着かない。煙草を吸うと落ち着けて休憩時間に吸っている人は多いと思う。
まさに息の詰まる現代社会の頼れるお供だろう。
まあ何にせよ、嫌な事は月夜と煙草で忘れてしまおう。明日が良い日になる事だけを願って。
絆
春の芽吹く今の時期
花粉もあるけれど
ほんのりとした暖かさが好き
春は出逢いと別れの季節
先輩と離れ離れになるのが悲しくて
卒業について考えていると少し涙が出てくる
優しいふんわりとした笑顔や
みんなをまとめ上げる姿、
勉強やサーブを教えてくれた事に
憧れだった
私もこうなりたい
こう思って貰える様な先輩になってみたい
って心の底から思えた
引退した時に
「これからも頑張ってね!応援してるから!」
何て笑顔で先輩達は言った
全員が同じ言葉ではなかったけど
その全てに私達を応援してくれていると分かった
「私達の絆は永遠だから!」
って言って貰ったミサンガ
辛い事はあってもお陰で乗り越えられたんです
今も昔もずっと宝物です
「私も先輩達みたいになる為に努力します。」
貰ったミサンガを撫でながら誰に話す訳でもないが
自然と口から漏れた言葉に
改めて決意する
やっぱりこの時期が好きだ
暖かさが歓迎してくれている様で
怖くても踏み出せる勇気を貰えるから
今までは無理だと決めつけていたけど
今なら何故かいける気がするの
遠くの街へ
毎年の様に来る手紙。お元気ですか?とか当たり障りのない文しか書かれていない此処までならなんともないが差し出し人の名前は見覚えのない名前で地域も知らない地域だった。不気味でもありどきどきやワクワクもあったその手紙を書いた人の正体を知りたくてたまにその場所に行って探している。今は好奇心で埋め尽くされたその手紙を見ながら電車に乗っている。次第にこの遠い街でも知り合いが出来たり好きな店が出来た。今日も何時もの様に目的地に着いたらその人の正体を知る為軽い足取りで慣れた様に遠くの街へ歩き出す。
現実逃避
皆んなと遊ぶ、話す、こんな事をしたって辛く長い人生の暇つぶし、ほんの少しの現実逃避にしかならないのに。
それでも手を伸ばしている私がいる。
助けてなんて言えないけどそれでも現実逃避で安心出来るから。
心が壊れてしまわぬ様に必死になって現実逃避をする。
例え数十年後でもはたまた数日後でも私が救われるその時まで。
死ぬ時が初めから知れたなら良かったのに。
ゴールが見えないのはとても怖い。
でも見えていたとしてそれが数十年後なら私はきっと耐えらなかっただろう。
なら見えない方がきっと良かった。
いや、こんな事考えたってしょうがないか。
辛い事は見たくも考えたくもない。
私はこうしてまた現実逃避をしていくのだろう。
この先も永遠に。
君は今
君が居なくなってからもう随分時が経ったんだよ。
あの日何も言わずに何処かに消えた君。
元気にしてる?
君は危なっかしい所があるから不安だな。
でも君の事だから案外元気にやっているのかもね。
何時も笑顔で皆んなのムードメーカーだった君。
意外と努力家な君。
よく恋愛小説を読んでいた君。
君は今何をしてる?
あれから僕は色んな事があったよ。
苦手で何が良いのか分からなかった恋愛小説を読んで見たり、嫌いだった炭酸も飲めるようになったり、人付き合いが苦手で君以外話す人も居なかったけど最近少しだけ話せる様になったんだ。
君に話したい事も、聞きたい事も沢山あるんだ。
今日は君の誕生日だったよね。
誕生日おめでとう。
時計を見るともう直ぐ最終下校の時間になりそうだった。ノートと教科を閉まって帰る。
君が居なくなってから何処か心に穴が空いた様な気がするんだ。
炭酸の抜けたサイダーみたいに物足りない。
また会えるその時はまたよろしくね。