【軌跡】
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奇跡の、軌跡。
長く厳しい、道のりだ。
軌道に乗り、跡を残した。
努力の道。
それを、軌跡と言い。
人は、奇跡と言う。
自分は、
したことが無い。
奇跡を起こしたことも。
軌跡を作ったことも。
すなわち、
努力をせず、運にも見放されたのだ。
それがどうってことは無いが。
軌跡と言う言葉を見ると。
過去を振り返ってしまう。
何をしてきたんだろうと。
何かはしてたはずなのに。
軌道にも乗れず、跡も残せてない。
残せたとしても、それは痕だ。
だからといって、言葉が嫌いなのではない。
努力をして、
今からでも道を紡げばいいのだから。
…できてなかったくせに。
できてなかったら。
今からなんて、できることもない。
絶望も、希望もない。
奇跡も、軌跡もない。
何にもない。
何かあるだけの。
人。
軌跡を辿った努力家の皆様。
奇跡と言われ、努力を無下にされた皆様。
軌跡を辿れず落ちぶれた皆様。
どうか。
私の代わりに。
頑張ってくださいね。
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告ってきたのは、あっちだった。
隣の席の、ただのクラスメイト。
恥ずかしがり屋なのか、人見知りなのか。
人の後ろにたって見てるような子だ。
私にとってはそれが煩わしくて。
頑張ろうとしてるなら、
頑張ればいいのに。
と、少し嫌ってた節もあった。
でも、なにかしようとも思わなくて。
適当に話していた。
ある日の、
いや、
私の誕生日の帰り道。
家が真逆なのに、
「話があるんだ」
と言って止めてきた貴方。
太陽が落ちゆく中。
貴方は、私に。
告白をした。
夕暮れの中、照らされた貴方の頬は赤くて。
私は、
可愛いと思ってしまった。
あんな恥ずかしがり屋な貴方が、
勇気をもって告ってきたことに。
今にも泣きそうな目で返答を待つ君に。
私は、裏切れなくて。
返事をした。
「いいよ。」
私たちは、付き合った。
噂になるような程でもなかった。
貴方は、性格の割に積極的で、
デートに誘ってきたり、
家に行きたいと行ってきたした。
恋人なのだから。
普通だ。
でもどこか。
私は、好きではなかったんだ。
可愛いと思うだけ。
彼女として、
貴方と一生居たいとは思わなかった。
だけれど、昔みたく、
煩わしいという気持ちはない。
嫌いという気持ちもない。
私にとって、貴方はなんなんだろう。
好きにもなれず、
嫌いにもなれない。
貴方にとっての、私はなんなんだろう。
単純だ。
貴方は、私のことが好きなのだ。
それが、分かってしまうからこそ。
私は、分からない。
隣で見て来てしまったから。
今更、貴方に非がないのに。
別れようなんて。
言えなかったから。
中途半端なまんま。
私はいた。
ある時、
いや、
貴方の誕生日の、デートの帰り道。
私は言った。
「ごめん、私…貴方のこと。嫌いなんだ。」
日が暮れ、太陽は落ち。
やや寒い風が吹いていた。
あの時とは逆に。
密かに頬をつたる、
水色の、涙。
私が反射して、下へと落ちてった。
私は、残酷なことに。
可愛いと思ってしまった。
そうか。
そうなんだ。
私は、貴方が好きなんじゃない。
貴方が、
貴方が…
酷い目にあってる時が好きなんだ。
あの時の、告白も。
恥ずかしがって泣きそうだった貴方が。
今の、この別れも。
離れたくなくて泣いている貴方が。
笑顔の貴方を見ても、好きになれなかった。
そうか。
それならば。
別れて、当然だね。
「ぁ…」
貴方が何かを言いたそうにしてたから。
返事をしてあげた。
「別れよっか。」
私達は、別れることになった。
噂になるような程でもなかった。
隣の席は、もう変わり。
隣に、貴方はいない。
好きにもなれなかった。
嫌いにもなれなかった。
貴方
昔も、今も変わらず。
貴方を、
可愛いと思ってる。
貴方は、好きになりすぎて、
嫌いになれなかったのだろうか。
前の貴方に戻ってしまった。
けど、そんなのは関係ない。
だって、ただのクラスメイトなのだから。
普通だ。
【好きになれない。嫌いになれない。】
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夜が明けた。
遠くて見えない光から。
夜が明けた。
貴方の輝かしい光から。
夜が明けた。
眩しい苦しい光から。
夜が明けた。
貴方が届けた光から。
夜が明けた。
光から。
見えた、貴方が。
夜が明けた。
そう。
夜が明けてしまった。
貴方に逢えてしまう。
僕と会わないで欲しいのに。
夜が明けた。
夜が明けたら、朝になる。
朝に貴方はいる。
夜に僕はいる。
夜が明けた。
夜が、明けた。
開けた。
空けた。
僕があいた。
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【ふとした瞬間】
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ふとした時の、
見せるその表情。
僕の知らないその表情。
あの人にだけ見せる、
知らない、知りたくない表情。
なんで。
僕じゃダメだった?
僕じゃ、僕じゃあの表情は出せない。
隣にいてくれるって言ってたよね。
なんで。なんで?
あの人は、あの人は赤の他人。
僕は、君に一生使えるのに。
その、その表情。
その、その笑顔。
僕にも見せて?
パシッ
え?
手を、払って…
「����������」
!
あ…。
あぁ…。
僕は。
ふとした瞬間。
君が放った言葉は。
僕を貫き、終わらせた。
君に、纏った報いか。
あの人に近づいた報いか。
ふとした時には、もう。
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どんなに離れていても。
僕は、
君を、
覚えてる。
離れていても。
離れることない心。
いつでも、隣に君はいてくれた。
いてくれると、約束してくれた。
だから、
どんなに離れていても。
僕は、
君を、思い出し、
僕は、
君を
君と。
離れない。