noname

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告ってきたのは、あっちだった。

隣の席の、ただのクラスメイト。
恥ずかしがり屋なのか、人見知りなのか。
人の後ろにたって見てるような子だ。

私にとってはそれが煩わしくて。
頑張ろうとしてるなら、
頑張ればいいのに。
と、少し嫌ってた節もあった。
でも、なにかしようとも思わなくて。
適当に話していた。

ある日の、
いや、
私の誕生日の帰り道。

家が真逆なのに、
「話があるんだ」

と言って止めてきた貴方。

太陽が落ちゆく中。
貴方は、私に。

告白をした。

夕暮れの中、照らされた貴方の頬は赤くて。

私は、
可愛いと思ってしまった。

あんな恥ずかしがり屋な貴方が、
勇気をもって告ってきたことに。

今にも泣きそうな目で返答を待つ君に。

私は、裏切れなくて。
返事をした。

「いいよ。」

私たちは、付き合った。
噂になるような程でもなかった。

貴方は、性格の割に積極的で、
デートに誘ってきたり、
家に行きたいと行ってきたした。

恋人なのだから。
普通だ。

でもどこか。
私は、好きではなかったんだ。
可愛いと思うだけ。
彼女として、
貴方と一生居たいとは思わなかった。

だけれど、昔みたく、
煩わしいという気持ちはない。
嫌いという気持ちもない。

私にとって、貴方はなんなんだろう。

好きにもなれず、
嫌いにもなれない。

貴方にとっての、私はなんなんだろう。

単純だ。
貴方は、私のことが好きなのだ。

それが、分かってしまうからこそ。
私は、分からない。

隣で見て来てしまったから。

今更、貴方に非がないのに。
別れようなんて。
言えなかったから。

中途半端なまんま。
私はいた。

ある時、
いや、
貴方の誕生日の、デートの帰り道。

私は言った。

「ごめん、私…貴方のこと。嫌いなんだ。」

日が暮れ、太陽は落ち。
やや寒い風が吹いていた。

あの時とは逆に。
密かに頬をつたる、
水色の、涙。

私が反射して、下へと落ちてった。

私は、残酷なことに。
可愛いと思ってしまった。

そうか。
そうなんだ。

私は、貴方が好きなんじゃない。

貴方が、
貴方が…

酷い目にあってる時が好きなんだ。

あの時の、告白も。
恥ずかしがって泣きそうだった貴方が。
今の、この別れも。
離れたくなくて泣いている貴方が。

笑顔の貴方を見ても、好きになれなかった。
そうか。

それならば。
別れて、当然だね。

「ぁ…」

貴方が何かを言いたそうにしてたから。
返事をしてあげた。

「別れよっか。」

私達は、別れることになった。
噂になるような程でもなかった。

隣の席は、もう変わり。
隣に、貴方はいない。

好きにもなれなかった。
嫌いにもなれなかった。

貴方

昔も、今も変わらず。
貴方を、
可愛いと思ってる。

貴方は、好きになりすぎて、
嫌いになれなかったのだろうか。

前の貴方に戻ってしまった。

けど、そんなのは関係ない。
だって、ただのクラスメイトなのだから。

普通だ。

【好きになれない。嫌いになれない。】

4/29/2025, 10:30:49 AM