友ならずっと昔に存在した
よく皆で集まり円になって談笑していた。
たわいも無い話で笑い合い、
共に酌み交わしたりもした。
そんな日々がずっと続くと思っていた。
ずっとずっと遠い過去の事。
今は独り。
それでも進むしかない。
人を傷つけ自分のことすら愛せず
心が腐り堕ちていたのも遠い日の記憶。
絶対に忘れてはならない痛み
絶対に忘れてはならない記憶
彼らに恨まれるのも憎まれるのも至極当然のこと。
傷つけた人達以上に多くの人を
敬い大切にし助けていかないと。
まだまだ始まったばかりなんだ。
優越感など感じたことはなかった。
劣等感の塊だった。
「少し付き合ってくれますか?」
そう唐突に君が言ってきたのを今でも覚えてる。
真っ直ぐで儚げでそれでいて
力強い意志を感じさせるその目で、
俺の顔を見据えてきた君を。
祭囃子の音が聴こえる傍ら
君と横になって歩いていた。
大勢の人々が行き交う雑踏の中
君は淡々と話を続けていた。
「このままずっと人を恨みながら、生きていくんですか?」
「独り善がりの生き方はいずれ貴方を苦しめます」
「人を苦しめてもその先には何も有りません」
余計なお世話だと思った。
しかしそれに理解を示そうとしている自分もいた。
分かってはいる。
人を恨み、嘆き、痛め続けた先に
真の意味での幸せなど訪れはしないと。
だが自分にはそんな生き方しか出来ない。
後悔と後戻り出来ない暗闇の中で
必死にもがき苦しむ気持ちがお前に、
分かるのかと内心そう考えていた。
「君には関係ない」
揺れる水面に街の明かりが
ゆらゆらと映り込んでいた。
闇の果てに灯る白昼夢のように___
ずっと自分は日差しの当たる道ではなく、
日影の道を歩くべき人間だと思っていた。
少しでも陽に触れれば吸血鬼のように
たちまち灰になりそうなくらい
それほど身も心も弱りきっていた。
だから、闇を選ぶしかなかった。
光に拒絶されるのであれば
闇を受け入れるしかなかった。
哀しみと虚無と怨嗟の念が
渦巻く終わりの無い日々の中、
足が沈みそうな暗闇の中を
歩いていくしかなかった。
歩いて、歩いて、歩き続けて
ようやく救われると思った矢先
手に入れるはずだった果実は、
目前で枯れ果ててしまった。
一体ここまでなんの為に____