ぬいぐるみの心は
あなたが初めて私の家に来たとき。
嬉しかったわ。
もう一人じゃないって思えたよ。
どれだけ大変なことがあっても、悲しいことがあっても、あなたは家にちゃんといる。
帰ってあなたを抱きしめるの。
そうしたら、とっても安心して明日は大丈夫って思える気がしたのよ。
だからね、あなたとずっと一緒がいいわ。
――私が死んじゃうくらいまで。
ぐらぐらと揺れる視界の中に、あなたの姿が写った。
いつものように私のすぐ側にあなたがいる。
震える手であなたの頭を撫でた。
ふわふわしていて、柔らかい。
そんな感触が伝わってくる。
――安心する。
プツン。
意識が途切れたようだ。
もう、彼女が目を覚ますことはない。
安心して、逝けたのだ。
だったら、役目は果たせた。
僕の役目は。
『わたしはあなたが大好きよ。』
そんな昔の言葉が思い出される。
そう言ってくれた彼女はもういない。
涙はこぼれない。
涙をこぼれさせられない。
だから僕は、しんと静かな部屋から泣いているような雨を見た。
お気に入り
人目
私は、中学二年生のバド部員。
同学年の子は3人という、あまりにも残酷な人数。
理由は、ダブルスの時に一人(私)だけ余ってしまうから。
一年生の頃から、恐れていた。
その未来を。
だから、怖くて逃げ出してしまった。
一時期だけどね。
その結果が今。
私は一番下手で、サボってて、やる気がなく、後輩とも上手くいってない。
そして、恐らく後輩にもそろそろ負けてしまうだろう。
辞めたい。
けど、同学年の子達とは仲がいいし、この関係を壊したくない。
たかが部活ごときで。
辞めたい。
でも、いじめられてる訳じゃないし。
辞めたい。
辞めたい!
だけど、明確な理由がない!
どうすればいいの?
私は本当に辞めたいの?
ああ、そうか、
私は、
―――周りの目が怖い。
後輩よりも下手だって思われたくない。
一人ぼっちだって思われたくない。
コミュ症だって思われたくない。
ずーーーっと、人の目を気にしていたんだ。
やっと気づけた。
私は、人目を気にする人が嫌いだった。
だけど、私もそうだった。
私は、誰よりも人の目を気にしていたんだ。
(今回は自分が悩んでいることをただただ書いただけですが、読んでくれてありがとうございます。)
誰よりも
夢のような過去
私は彼と過ごしていた。
毎日、毎日、日を重ねるごとに仲が深まっていって。
嬉しかったな。
楽しかったな。
それなのに、今はもう会えすらしない存在。
そうなってしまうと関係も、記憶も、どんどん薄くなる。
薄くなって、なって、なって、やがて忘れることになるだろう。
まあ、私は覚えておくけど。
今思えばあの頃はなかなか思い出せない夢のようだった。
こんな夢を見た
この世界に制裁を
『正』を守り、『悪』を挫く。
それこそが『正』
そう、教えられた。
人は正しく生きなくてはいけない。
だが、悪く生きないと生き残れない。
この矛盾よ。
自分の心は自分が思っているよりも「純粋」、悪くいえば、「幼い」。
大人の心は自分が思っているよりも「複雑」で真っ黒い。
そう気がついたのだ。
汚いことでも、自分に利があるなら平気でしてしまうと、
そんなことをしている暇があるのなら、自分の道を信じて進めばいいのに。
信じれないんだね。
大人は。
どうか、この逆さまな世界に制裁を。
逆さま
特別な日
今日は私の誕生日。
みんなに祝ってもらえてよかったんだ。
まあ、ちょっともめたりもしてたけど。
今日というという特別な日、あと少しで終わってしまうけど。
来年も、この『特別な日』は来るよね。
明日を、明後日を生きる限り。
では、また会いましょうこの『特別な日』に
次会う時は15才だね。
また会いましょう