裏返し
私は
明るい、表面上では。
優しい、表面上では。
でも、自分の奥の奥の性格はどうしようもないほどねじ曲がっていた。
そういう人ほど自分を偽る。
周りの目に怯え、目立たない為に。
あなたの周りにもきっと居るよ?
フッと風が吹けば裏面がちょっと見えちゃう人が。
裏返し
羽があれば
彼女は虐待されていた。
毎日、毎日、殴られ、蹴られ、ときには刃物まで持ち出された。
今日また拳が振り上げられる。
避けなきゃ、逃げなきゃ、
いつもなら致命傷は負わずに済むが今日は、何も食べてないせいか判断が遅れ、「ドスッ」拳が腹に当たっていた。
「かはッ…っ――」
殴られたところを庇うような体制になる。
でも、痛みでまともに動けず何度も何度も何度も殴られ続けた。
すると、頭の中で「ガンッ」と音が聞こえた目の前がチカチカして、力が入らなくなった。
どうやら、当たりどころが悪かったらしい。
動かなくなった私を見てお母さんは興が冷めてしまったのだろう、いつも通り布団に入っていってしまった。
だんだんと意識が遠くなる。
私、死んじゃうのかな?
なら、次は鳥になりたい。
鳥だったらこんなところ簡単に飛んで逃げれるから。
鳥のように
さようならを言う前に
さようならって何だか終わりみたいで悲しいというか寂しい。
もう、戻ることなど出来ない、みたいな感じがするから。
『さようなら』
せっかくなら、笑えばよかったな。
でも、できなかったことが多すぎて。
さようならを言う前にいろいろなことをもっと、もっとしたかった。
(追記:初投稿から今日で一年が経ちました。
もっと読みたいは407もきました。
ありがとうございます。)
さようならを言う前に
名札
六年生の時の名札。
ピンクくて、白色で名前がかいてある。
そんな名札――
私は忘れっぽい。
物や匂い、音。
そのようなきっかけがないとなかなか思い出せない。
だから思い出すきっかけとしてなかなか捨てられない。
今でもまだ机の上に飾ってある。
いつまでも捨てられないもの
一人の夜は
暗い、冷たい、そんな海。
そこに一人、足を踏み入れる。
ザザーンと音がしてふと空を見上げた。
綺麗な月。
まん丸じゃない、どこか欠けている三日月。
愛おしげに眺め、ふふっと笑った。
そしてまた、もう一歩、もう一歩と海に入っていく。
太ももら辺まで海水に浸かった。
夏とはいえ、夜の海は凍えるほど寒い。
体温をもっていかれる。
身体が冷たくなるにつれて海と同化していくような感覚を覚える。
足に力が入らない。
海に取り込まれるのかな?
ガクッと倒れてしまった。
冷たい海になってゆくようだ。
息を吐くとゴボゴボと音がした。
苦しい、寒い、何も見えない。
そんな中、一人ぼっち。
夜の海