「そっと包み込んで」
完璧は何度でも再現できるのだ。
完璧は定義されていて、
それ通りに出来れば誰にでも出来るものなのだ。
では、失敗はどうだろうか?
失敗とは、完璧でないこと。
完璧でなければ失敗だ。
その失敗のバリエーションは数え切れないほどあり、
誰にでも同じようにできるものではない。
完璧は光って見える。完璧だから。
だが、貴方だけの失敗、世界に一つだけの失敗、
こちらの方が特別に見えてこないか。
失敗は悪いこと?いや、寧ろ良い事だ。
自信を持って自分を表現しろ。
失敗とは、自分自身だ。
【#145】
「昨日と違う私」
土砂降りの雨の中、窓を閉め切って
僕らはそっとカッターを握りました。
日に日に暗く、重くまとわりつく闇に
もう飽きてしまったのです。
黒以外の色が見たくて僕らは赤を滴り落とすのです。
そのすぐ上で、雲の世界から舞い降りた天使らは
屋根の上に集い、そっと手を合わせ、
雨を顔に受けながらゆっくりと目をつぶりました。
I believe in your happy life.
天使らは僕らが赤を求めていることにも気が付かず、
ただ純粋にこれだけを思い続けるのです。
そんなことも知らずに、
土砂降りの雨の中、窓を閉め切って
僕らはそっとカッターを握りました。
【#144】
「まって」
手を満点の星々に重ねた。
こんな風に、独りで涙流してたとき、
そっとこの手を握ってくれたあの人。
初めて人と一緒にご飯を食べて、
初めて人と一緒にお風呂に入った。
殴られずに人と過ごせることは、
こんなにも幸せなのかと感動した。
何処へいても、何をしてても、
この伸ばした手を必ず見つけ、握ってくれた。
僕はそんな人に恩返し一つ出来ずに、
輝く星になった貴方を見上げるしかない。
ねぇ、この手を握り返してよ、あのときのように。
【#143】
「手放す勇気」
大好きな、大好きだった、貴方との記憶の欠片。
写真、動画、思い出。
まだ写真立てだって指輪だって捨ててないわ。
貴方は捨てたのでしょうね、私との記憶を。
私があまりにも汚すぎて、嫌になったんでしょう。
さよならって言われた時、
私がどれだけ泣いたと思ってるの。
まだ私がこんな事してるって知っても、
失望しないで。
私が、貴方を愛していた証拠よ。
【#142】
「光り輝け、暗闇で」
自分が自分では無くなった感覚だった。
体が動かすのが怖くて、息もしたくない。
この感覚に飲まれ、沈み、
私は無くなってしまうのだろうか。
【#141】