ナナ

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5/29/2024, 10:07:49 AM

半袖

毎年、この時期になるとだんだん暑くなってくる。
半袖にしようか、長袖にしようか…
毎年、この時期になると少し迷う。
自分は暑く感じるんだし、半袖にしよう。
まだ長袖の人も多いし、周りに合わせよう。
脳内には天使と悪魔…とは違うけれど、相反する考えを持つ2人が現れる。
結局、長袖にした。暑くなったら袖でもまくればいい。
…と朝は思っていたが、想像以上に暑くなってしまった。
袖をまくっても暑い。ボタンを少し開けても暑い。
嗚呼、やっぱり半袖にするんだった…




これが先週末の話。今週こそは、失敗しないぞ…!
と意気込んだ。朝は少し冷えるが、日中は暑くなると昨日の天気予報で聞いた。今日は半袖にしよう。
…と、朝は思っていた。そして、後悔した。…想像以上に涼しかったのだ。
肌寒くて、少しだけ腕をさする。天気予報は当てにならなかった。
うぅ、やっぱり長袖にするんだった…





どっちにしろダメな時はダメ。それなら…
両方持っていけばいい!
そうだわ。なんで思い浮かばなかったんだ。
ということで、明日は両方持っていくぞ!
今度こそは絶対大丈夫だろ!
そう考えながら帰路に着く。

…明日にはそう考えたことをすっかり忘れ、また失敗してしまうなんて、私は思ってもみなかった。

5/6/2024, 11:42:45 AM

「明日世界が終わるなら」

今日眠って、明日目覚めることなく世界が終わったら。
わたしは毎晩そう考える。
辛くて悲しいこの日々も、一瞬で終われば楽だろうな。
最期をみんな一緒に迎えられたら、寂しくないだろうな。

きっと今日眠っても、平然と明日を迎えるんだろう。
幸せなんてない明日を、わたしはどう過ごせばいい?
希望という名の光はとうの昔に消え去っていて、
絶望とはいえない、仄暗い未来だけがそこにある。

明日世界が終わるなら。
それは誰かの絶望で。
それは誰かの悲しみで。
それでも誰かの、最上級の幸福なんだ。

時計の針は残り90秒。
地球の寿命はまだまだ先。
世界がなんで終わるのかは分かんないけど。
せめて、最期のときだけでもきれいな世界になってれば。
わたしはそれだけで十分幸せ。

5/5/2024, 1:06:08 PM

「君と出逢って」

ものすごくけたたましい音が辺りに鳴り響いた。
え、何?うるさいんだけど、と思いつつ、気になって外に出てみた。そしたら、思いがけない光景が広がっていた。
UFO。UFOが墜落していた。…………?理解が追いつかない。
「ゆ、夢…だよね?」
頬をつねってみたけど、めっちゃ痛い。ということは、これは現実…?
えーっと、コレ、どうしよう…


少し悩んでみた結果、中を覗いてみることにした。もしかしたら、宇宙人とか乗ってるかもだし。ドアらしきものを開けてみる。すると、中には1人の女の子が乗っていた。ティファニーブルーのナチュラルボブで、白を基調とした、蛍光色のラインが入ったパーカーを着ている。どうやら気絶しているようだ。…このままにしておくのも何だかなぁ。
…とりあえず、家に入れよう。
自室のベットに寝かせる。いつ目覚めるか分からないが、まだここに居た方がいいだろう。


――――30分後。
「…んぅ、よく寝た…ってアレ!?ここどこ!?」
どうやら目が覚めたらしい。ひとまず安心だ。
「おはようございます。あなたが乗っていたUFOが家の前に墜落して、あなたは気絶してたんです。それで、1度私の部屋で寝てもらってました」
「UFO…宇宙船の事だよね!そうだったんだ…ありがとう!あなた、親切なんだね!あたし、ステラっていうの!あなたは?」
「佐藤葵です」
「葵ちゃん!よろしくね!あ、ところで、あたしの船、見てもいいかな?」
「もちろん。案内しますね」
「ありがとー!」
私たちはUFOのところへと向かった。


「あちゃー、これは修理が必要だー…」
やってしまった、というような声だ。
「これって、どのくらいで修理できそうです?」
「うーんと、最低でも1ヶ月はかかるかな…幸い、修理に必要な道具は持ってきてたから部品とかはあるんだけどね、直さなきゃいけないところが多すぎるなぁ…」
「そう、ですか…一応聞きますが、頼りにできる人はいますか?」
「残念ながら…通信機があるから、あたしの星の人に繋がるかもしれないけど…地球には頼れる人、いないんだよね」
「…UFOが直るまで、うちに泊まりますか?」
「っえ、いいの?家族の方とかは?」
「今、両親は出張してて、しばらく帰ってこないんです。兄弟もいないし、あなたさえ良ければ、うちに泊まっていってください」
「…ありがとう!それじゃ、お言葉に甘えて、泊まらせてもらいます!不束者ですが、よろしくお願いします!」
「…ふふ、なんかプロポーズみたい。こちらこそ、よろしくお願いします!」
こうして、私とステラのドタバタな毎日が始まったのだ。

5/3/2024, 2:34:39 PM

「2人だけの秘密」

私は夢を見る。小さな頃から、ずっと。
夢の中には、何時もある女の子がいる。私と同じくらいの歳の子。初めてその夢を見た時から、私に話しかけてきた。一緒に遊んで、お菓子を食べて、いっぱい笑って。私が熱を出して寝込んでいた時も、夢に出てきて、私を笑わせてくれた。本当に幸せだった。たまにその子がいない時もあったが、その時は決まって手紙が置いてあった。
「ちょっとでかけてくるね!きみがすきなもの、たくさんおいておいたから、それであそんでね!」
と言った感じだ。これは私が小さい時のものだが。
そして、決まって夢から覚める直前に、
「わたしの事は、誰にも言わないでね。2人だけの秘密だよ!」
と言われるのだ。なぜそんなことを言うのかは分からないが、特に誰かに言う必要もないので、話していない。
この幸せな夢が、終わることなく続いてくれたらと、ずっと思っている。

だが、少し前に、こんな内容の手紙が置いてあった。
「ごめんね、暫く会えなくなっちゃった。お別れでは無いから、安心してね。」
それから、私はあの夢を見ていない。日常生活に支障が出るわけでは無いが、やっぱり、あの子がいないのは寂しく感じる。
そんなことを考えていたある日の夜。私は久しぶりに夢を見た。
「久しぶり〜!ごめんね、ずっと会えてなくて」
「ううん、大丈夫。何かやることでもあったんでしょ?」
「うん、まあ、ね」
…なんだか寂しそうな気がする。何か悲しいことでもあったのだろうか。そう考えていると、
「今日は、きみに大切な話があるんだ。…実はね、もう会えなくなっちゃうんだ」
…は?
「な、何で?私、何かしちゃった…?」
「ううん。きみはなんにも悪くないよ。これは、元々決まってたの。きみは明日で17歳の誕生日を迎える。その日の朝6時になったらバイバイだって、そういう運命なの」
急にそんなこと言われたって、理解も、納得も出来るわけない。
「やだよ、何で、何で…!」
涙がこぼれる。だって、17年も一緒にいたんだよ。お別れなんて嫌だ。あなたがいなくちゃ、私は、私は…!
「っ、わたしだって、わたしだってお別れなんてしたくないよ!でも、どうにも出来ないの…」
あなたの目からも涙がこぼれた。あなたの泣いてるとこなんて見たくない、と思うと同時に、なぜだか、少しだけ、嬉しいな、と思ってしまった。私のためにあなたは泣いてくれるのだと思うと、私の中で何かが震えた。
「…そっか、そっかぁ。…仕方ないんだよ、ね」
「…うん、ごめんなさい」
「あなたが謝る必要なんてない!私こそ、我儘言っちゃった。ごめんね」
「ううん。わたしだって、同じ気持ちだったから。…わたしね、きみが秘密を守れたら、きみと私のお願いごとを、ひとつだけ叶えられるようになってるんだ。だから、わたしは…いつか、きみとずっと一緒にいられるようになりたい。多分、ずっと先のことになっちゃうけど…」
「私も、あなたとずっと一緒にいたい!どれだけ先でも待つよ。あなたは、私の…親友、だもん」
「…ありがとう。…もうすぐ6時に、きみが生まれた日の朝になる。最後に言わせて。わたしの親友。わたしは、またきみと会えるまで、ずっと、ずーっと、きみのことを見守ってるよ」
「っ、うん…!待っててね。大好きなあなたのこと、絶対に忘れない!」
そう伝えると、あなたは、泣きながら微笑んで、
「─────!」
何かを言って光に包まれ、消えていった。




数十年後。私は天寿を全うしようとしている。大切な人との別れには寂しさも感じるが、それ以上に、あなたと会える喜びに包まれている。この先に待つあなたとの日々を楽しみにしながら、目を瞑った。

赤子の泣き声がふたつ聞こえる。1つは自分自身のもの。そして、もうひとつはあなたのもの。願いは本当に叶った。私たちは双子として生まれてきた。きっとこれから楽しいことも、辛いことも沢山待っている。それでも、あなたと私なら乗り越えてゆける。2人だけの秘密を、胸に抱いて。

5/2/2024, 12:45:37 PM

「優しくしないで」

「おはよう!」
ひとりぼっちで、勉強も運動もダメダメなわたしに話しかけてくれて、
「一緒に食べよう!」
いっしょにご飯食べてくれて、
「一緒に行こ!」
ずっとそばにいてくれて。
うるさいだけの教室が、少しだけ暖かく感じるくらいに幸せだ。
どうしてそんなに優しいの?
わたしのこと好きなのかもって、勘違いしちゃうじゃん。

でも君がわたしを好きなわけない。
わたしのことが好きな人なんていたことない。
どうせこの思いを打ち明けたら君ははなれてしまうんだ。
だから、今はまだこのままがいい。
この日々が、いつまでも続いたらいいのに。

そんな日々もあの子が転校してきて崩れた。
あの子は勉強も運動もなんでも出来て、すぐにクラスの人気者になった。
君はあの子の近くで笑ってて、
わたしとは全然話してくれなくなって。
君に相応しいのはわたしじゃないんだって、
君が好きなのはあの子なんだって、
気づいてしまったんだ。

結局わたしは変われなかった。
元通りになっただけ。
君がいなければ、ずっとひとりだったはず。
そう自分に言い聞かせるのに精一杯。
君との甘くて優しい日々は、思い出になってしまった。
こうなるから、優しくなんてしないで欲しかった。
ベットに寝転んで、泣きながら眠りにつく。

「おはよう!」と君が言う。
他の誰でもない、わたしに向けて。
「一緒に食べよう!」
他にも友だちなんてたくさんいるだろうに。私のところへ来てくれるくらい、君は優しい人なんだ。
「一緒に行こ!」
移動教室のときですら、わたしと一緒にいてくれて。
ああ、わたしは幸せすぎたんだ。十分過ぎるくらい、君にもらっちゃったんだ。
だから、わたしの幸せはもう終わり。もう、他の誰かにゆずらなきゃ。あとわたしができるのは、君の幸せを願うことだけ。そうなんでしょ?ねぇ…

目が覚めた。
さっきまでのは全部夢。
これで、わかった。
君はあの子と結ばれて、ハッピーエンド。
わたしはそれを見てるだけ。
そして、おめでとうって言って、わたしはそれでおしまいなんだ。
もう、君のことなんて忘れちゃえばいいんだ。
きっと、絶対、それがいいんだ。

制服に着替えて、いつも通り学校へ。
あの子と話す君を横目に、自分の席に座る。
教室は五月蝿くて、冷たく感じる。
いつかのわたしと一緒だ。笑えてくるくらいに。
君への思いは手放した。
心はすっきりして、でもすごく冷たい。
…ああ、世界はもう優しくなんてしてくれない。
こんなことになるのなら、最初からやさしくしないでよ。ねぇ!

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