15日目【ミッドナイト】
眠い、でも眠れない。
だって。
ずっと好きだったあなたの腰に、つかまっているんだから。
ずっと憧れていたあなたの背中に、ほっぺたをくっけているんだから。
国道沿いは、キラキラと光っている。
このまま永遠に走り続けていたらいいのに。
大好き。
14日目【安心と不安】
今の仕事は、経済の安定があるから、安心して仕事以外の活動ができる。
でも。単純な事務作業で、そこに仕事の面白味はない。
だからあと10年も、こんな仕事を続けていくことへの不安もある。
「こんなんで、今まで培った私の能力である、企画力や伝達力を使わないままでいいのか?」と。
13日目【逆光】
銀杏の木の下で待つ貴方が見えづらくて、一旦スルーして通り過ぎてしまった。
慌てて引き返した私を見て、貴方は笑ったっけ。
「目、ショボショボしてる…」
それから私たちは、近くのエスニックレストランで、ランチをした。
今の仕事のこと、これからのキャリア、プライベートでよく行く場所、最近読んだ本などなど。
話は尽きなかった。
こんなにも気の合う人はいないんじゃないかと思った。
貴方も同じ気持ちだったはず。
だけど私たちは、それ以上は進めなかった。
私たちには家庭があったから。
「またランチしましょうね」
と約束して、次の機会を待ち望んでいたけど、結局その日限りだった。
貴方は、二度と一緒にランチに行けない場所へと、旅立ってしまった。
今でも銀杏の木の下に貴方が立っていないかと、目を見開いて探しています。
12日目【こんな夢を見た】
仕事で私に嫉妬して、引きずり下ろしてきた男性陣が、勢ぞろいで出てきた。全員、別々の仕事で出会っているから、彼ら同士は知り合いではない。
全員に共通するのは、やたら「漢」を強調し、自分ができる男だとアピールしまくる。そして、屁理屈で相手を説きふせるのがクセで、勝ち誇っている。
見事にモラハラ軍団だ。彼らの辞書に「謙虚」の二文字はない。
仲良く出てきて、モラ男同士、気が合うのだろか?血まみれになりそうなんだけど。
とにかく、私は関わりたくなかったから、気配を消していた。幸い気づかれなかったけど。
こんな夢を見た朝は、気分がよろしくない。
だから今日はレディファーストな、私をいつも褒め称える旦那様と、美味しい和紅茶を飲みながら、ホットケーキで朝ご飯しよう。
11日目【タイムマシーン】
子供の頃、机の一番手前の引き出しが。タイムマシーンだったらいいなって思っていた。
大人になって、ドラム式洗濯機が、タイムマシーンだったらいいなって思ったこともあった。
おばあちゃんになってしまった私は、今、人生の最後を迎えている。
走馬灯ってタイムマシーンに乗って高速移動することなのね。
若くて綺麗な娘さんがいたと思ったら、あっという間に結婚して赤ちゃんを産んで、赤ちゃんはあっという間に、小学生、中学生…最初の娘さんとは似てるけどちょっと違う、若くて綺麗な娘さんになっていた。
そしてその娘さんも、あっという間に結婚して赤ちゃんを産んで、子育てに奮闘し、あっという間に子供達は家を出ていき、旦那さんと旅行に行ったりしてたかと思ったら、旦那さんが出てこなくなり…
気がついたら今の私に戻っていた。
タイムマシーン。こうして振り返ると、劇的な出来事は何一つなかったけれど、小さな幸せがたくさんあって、恵まれた人生でした。
孫達よ、私のお通夜とお葬式では、たくさん笑ってね。
良かった、良かったって言ってね。
ありがとう。