13日目【逆光】
銀杏の木の下で待つ貴方が見えづらくて、一旦スルーして通り過ぎてしまった。
慌てて引き返した私を見て、貴方は笑ったっけ。
「目、ショボショボしてる…」
それから私たちは、近くのエスニックレストランで、ランチをした。
今の仕事のこと、これからのキャリア、プライベートでよく行く場所、最近読んだ本などなど。
話は尽きなかった。
こんなにも気の合う人はいないんじゃないかと思った。
貴方も同じ気持ちだったはず。
だけど私たちは、それ以上は進めなかった。
私たちには家庭があったから。
「またランチしましょうね」
と約束して、次の機会を待ち望んでいたけど、結局その日限りだった。
貴方は、二度と一緒にランチに行けない場所へと、旅立ってしまった。
今でも銀杏の木の下に貴方が立っていないかと、目を見開いて探しています。
1/24/2024, 1:44:08 PM