'25年4月16日 遠くの声
人が忘れていく順番は最初に「声」を忘れるんだって。
そんなことない、私はちゃんと覚えているよ。
そう思って思い出そうとしても、声ってどうやって再生すればいいんだろう。
なんとなく浮かんでくるのはイメージだけで実際に聞こえる訳じゃないから思い出せてるのかな。
次に忘れるのは「顔」らしい。
顔はまだちゃんと覚えてるよ。
目を閉じて思い出すと浮かんでくる。
そう、こんな顔だった。
そして耳を澄ませば遠くの声が聞こえてきそう。
そうか、顔と一緒に思い出せばいいんだ。
目を閉じて顔を思い出す、そしていつも私に言ってくれた言葉を思い出すと、脳内であなたが私に話しかけてくれている。
遠くの声が近くなってすぐそばにいるような。
でもまたすぐに遠くなる。
嗚呼、やっぱり私はあなたを忘れてしまいそうだよ。
'25年4月15日 春恋
春になって、新しい環境での生活が始まって、慣れない人間関係の中でミスするとすごく落ち込むよね。
そんな時に優しくしてくれる人が現れると恋に落ちてしまうことがあるよね。
自分だけに優しくしてくれたんじゃないかと思ったりして。
でもその人は本当に良い人だから、困ってる人に優しいだけなんだとわかって、ちょっとがっかりしちゃうよね。
ただ優しいだけなのか、好意を持って優しくしてくれるのか。
春の恋は見極めるのが大切ね。
'25年4月14日 未来図
一年の初めに手帳に書くのは未来図。
図というより年表のように書く。
自分がやってみたいことや、欲しいもの、こうなったら嬉しいなと思ったことを書く。
特に決まりはない。
その年のことだけじゃなく来年も再来年もずっと先まで、思い付く限りの年表を書く。
それを年末に見て叶ったことを私の歴史とする。
始めたのはいつだったか。
何年も続けていてわかったこと。
書かないより書いた方が叶いやすい。
毎年同じようなことを書いてるうちに、自分で行動に移すようになっているのかも知れない。
やっぱり自分の未来は自分で切り開くしかないんだろうな。
'25年4月13日 ひとひら
桜の季節も、もう終わりでしょうか。
満開だった花が散り始め葉桜となってきたのに、最後のひとひらまで桜でいようとピンクの花を咲かせる木。
若葉には勝てないけれど、この美しさを覚えていて欲しいと最後まで咲くのですね。
人もまた花の散った木を見向きもしなくなるけれど、桜は健気に次の春を待つのです。
紫陽花や向日葵や椿の美しさに心を奪われる人達も、春になるのを心の奥で待っているのです。
暖かくて柔らかい薄ピンクの花を忘れられないのでしょう。
最後のひとひらが散った時から次の物語は始まっているのです。
'25年4月12日 風景
休日に一人で電車に乗って少し離れた街へ。
そこは昔ながらの長い商店街や大きな百貨店や観光客が訪れる名所もある街でね。
学生の頃から友達とよく行ってたんだけど、時代の流れでお店が無くなったり、そこに新しいお店ができたり、昔からずっと変わらずにあるものもたくさんあったり。
定期的に通いたくなる街なんだよね。
その日も1日ブラブラ歩いて商店街まで来たから、いつもの喫茶店で休憩しようと思ったら満席だったのね。
それなら新しいお店を見つけようとあちこち覗いてみるんだけど、満席だったりなんとなく自分の好みじゃなかったりして、商店街をいつもは行かないところまでどんどん歩いてたの。
そうして初めて見つけた年季が入ってそうな和菓子屋さんの店先に、不自然な2階へ上がる階段を見つけて、上を見上げると喫茶室のようなものが。
お店の人に声を掛けると2階で飲食できるそうなので上がってみたの。
そんなに広くない店内には年配のご夫婦が1組。
商店街を見下ろす窓際の席がもう一つ空いてたから私もそこへ座ったの。
メニューには数々の和のデザート達が並んでいてどれも美味しそう。
注文して程なく運ばれてきたクリームあんみつ。
ガラス窓から商店街の風景を見ながら和菓子を食べると、時間がゆっくり流れているような、懐かしいような感じがしたんだよね。
お気に入りのお店がまた一つ増えたのが嬉しい1日だったな。