'25年4月13日 ひとひら
桜の季節も、もう終わりでしょうか。
満開だった花が散り始め葉桜となってきたのに、最後のひとひらまで桜でいようとピンクの花を咲かせる木。
若葉には勝てないけれど、この美しさを覚えていて欲しいと最後まで咲くのですね。
人もまた花の散った木を見向きもしなくなるけれど、桜は健気に次の春を待つのです。
紫陽花や向日葵や椿の美しさに心を奪われる人達も、春になるのを心の奥で待っているのです。
暖かくて柔らかい薄ピンクの花を忘れられないのでしょう。
最後のひとひらが散った時から次の物語は始まっているのです。
'25年4月12日 風景
休日に一人で電車に乗って少し離れた街へ。
そこは昔ながらの長い商店街や大きな百貨店や観光客が訪れる名所もある街でね。
学生の頃から友達とよく行ってたんだけど、時代の流れでお店が無くなったり、そこに新しいお店ができたり、昔からずっと変わらずにあるものもたくさんあったり。
定期的に通いたくなる街なんだよね。
その日も1日ブラブラ歩いて商店街まで来たから、いつもの喫茶店で休憩しようと思ったら満席だったのね。
それなら新しいお店を見つけようとあちこち覗いてみるんだけど、満席だったりなんとなく自分の好みじゃなかったりして、商店街をいつもは行かないところまでどんどん歩いてたの。
そうして初めて見つけた年季が入ってそうな和菓子屋さんの店先に、不自然な2階へ上がる階段を見つけて、上を見上げると喫茶室のようなものが。
お店の人に声を掛けると2階で飲食できるそうなので上がってみたの。
そんなに広くない店内には年配のご夫婦が1組。
商店街を見下ろす窓際の席がもう一つ空いてたから私もそこへ座ったの。
メニューには数々の和のデザート達が並んでいてどれも美味しそう。
注文して程なく運ばれてきたクリームあんみつ。
ガラス窓から商店街の風景を見ながら和菓子を食べると、時間がゆっくり流れているような、懐かしいような感じがしたんだよね。
お気に入りのお店がまた一つ増えたのが嬉しい1日だったな。
'25年4月11日 君と僕
'25年4月10日 夢へ!
姪っ子が大学院を卒業して就職のために遠い地へ行くことになったの。
最後に会ったのは中学生くらいだったかな。
直接連絡を取り合うことはないからお祝いの品と短い手紙を添えて送ったのね。
届いたら姉から連絡が来るだろうと思ってたのに、姪っ子が直接電話をくれてたの。
でも私が電話に出られなくて、長文のお礼のメッセージを送ってくれたんだよね。
記憶の中では思春期真っ只中の姪の姿しかなかったから、とても大人びた文章にびっくりしたし、素敵な大人の女性に成長したことが目に見えるようで、すごく感動したの。
お祝いの品ももちろん嬉しいけど私からの手紙を読んで感激した、と書いてあってこっちまで嬉しくなるよね。
頑張り屋さんの姪のことだから大丈夫。
まっすぐに夢へ!
'25年4月9日 元気かな
毎朝バス停で見かけてた人が来なくなってだいぶ経つんだけど、どうされてるのかな。
名前も連絡先も知らなくて初めて顔を合わせた時に挨拶してくれて、それから世間話をするようになった人なんだけど。
仕事はもうしてなくて毎日病院へ行ったり喫茶店へ行ったり電車に乗って百貨店へ出掛けたり。
しゃべり出したら止まらないパワフルな人だったのに、しばらく見かけない時に足を骨折してからはちょっと元気が無くなってたの。
すごく親しかった訳じゃなくても毎日のように会ってたからちょっと気になるのよね。
元気かな。
娘さんが隣町に住んでると言ってたし、そっちへ行ったのかも知れない。
名前も住んでるところも知らない人なのにバス停に来る度にふと頭の片隅をよぎる存在。
その人も私のことをふと思い出す瞬間があるんだろうか。
答えの出ないことを朝の通勤電車に揺られながら考えてみる。