サンクコストというのがあってね
今までかけた労力と時間を加味すればするほど
たとえそれに価値が伴っていなくても
捨てられなくなる
そう、例えばこの服
型が古くて多分袖を通すことはもうない
けれど、それを手に入れる過程に
大きな犠牲が伴っていたら
捨てるのを躊躇してしまう
執念のようなものにも当てはまる
この資格を得るために
この仕事に就くまでに
どれだけの人との関わり
努力、負債を抱えたか
たとえそれが益をもたらさなくても
恩を受けたこと
かけた時間とお金
全てを捨てて辞めてしまうことができない
いつまでも捨てられない
それもサンクコスト
でも立ち止まれない
この会社と心中できない
ごめんね
そう言って彼女は辞めていった
全ての人間関係を絶って。
僕はまだ
捨てる決心がつかずにいる
「真っ暗な中に波の音
夜の海ってなんかドキドキするよね
なんでだろ?」
「たぶん、ドラマや映画では
大体死体が発見されるからじゃない?」
「……なんでそんなロマンのないこというかなー?
あ、ほら、ウミホタルかな?光ってる」
「知ってる?ウミホタルって雑食で動物の死骸に群がるんだって。
どざえもんなんかにも群がるらしいよ」
「……あんたとはもう、海散歩しない……」
§夜の海
心の健康は大事
フィジカルと違って分かりにくい
怪我をしても見た目で分からないから、電車で席を譲るように他人に気づいていたわってもらうことも出来ない
治ったかどうも分からない
治ったと思ったらある日フラッシュバックして
蹲ることだってある
健康第一とはよく言ったものだ
疲労骨折があるように、こんな事でと思われることで挫けることもある
だから日々心がける
なるべく重荷を下ろすように
肩の力を抜いて
バンザイして
伸びをするように
好きな物
愛せるもの
心が楽になる
拠り所を、
ひとつじゃなく、いくつか持とう。と
もっと最後は歌い上げていい
そうダメ出しを食らった
歌い上げるのは語るのとは違う
(あああ時間がっちょっと描きかけキープ)
君の奏でる音楽
麦わら帽子が置いてある
そっと持ち上げると
トンボが飛び立った
……悪い事をした