「クラスで徒党を組んでるのってさ
小さな優越感をお互い感じるために
集まってるだけでしょ?」
そんな仲間と思われたくないもの
いつも1人でいるクラスメイトに声をかけたら
そう返事が返ってきた
優越感?そんなわけない。おかしい。
みんな仲良いもん
私が声をかけることで
ひとりぼっちの彼女は喜んでこちらに来ると思ってた
……ああ
それが既に私の優越感だったのか……
そして、なびかない彼女にほんの少し
劣等感を感じた
目が覚めると
バースデー祝のメッセージと
バルーン付きの花束が届いた
いい歳して誕生日などと思っていたが
祝われると嬉しいものである
ハッピーバースデー
自分が生まれてきたことにも
感謝しよう
「そんなの、できて当たり前でしょ?」
高校の頃、どうしても欲しいゲームがあって
母親に買ってもらう交渉として
期末で学年一位をとった
結果を報告したら
交渉に進むまでもなく
笑顔を見るまでもなく
バッサリである
せめて、「よくやった」があれば
その後の交渉に進めたものを……
でも頭のどこかで分かってた。
だって、友人から
「テストでいい点をとったら買ってもらうんだ」と聞いた時
なるほど!それが交渉になりえるのか
よし、やろう
と思ったのだから。
だから成り立たないだろうと
分かってた。
母の当たり前は
私の当たり前でもあったのだ
「生駒山上に絶叫マシンならぬ、絶景マシンがあるってCMみたんだけど、
行きたーーーい!」
車を持たない彼女は、俺の車をあてにして駄々をこねる
「お前なあ
七夕だから星を見たいっていって
湾岸まで車出させたの昨夜だったろ」
正直昨夜も深夜に車を飛ばしたわりに
湾岸は思ったより明るくて星はみえなかった為
散々文句を言われたばかりだった
「そもそも昨日星が見えなかったのも
光害のせいだろ」
「光化学スモッグとかってこと?」
「違う、公害じゃなくてひかりがいの方。
街の明かりが夜中まで無駄に光ってるから
星が見えなかったんだろ?
今度はその元凶を見に連れてけってこと?」
本音は生駒山上に行く道の暗峠を通りたくないんだが
結局押しの弱い俺は彼女に
「海と星空と夜景はデートスポットでしょ?男なら四の五の言わずに連れてきなさい!」
と令和の時代にまったくそぐわないわがままに
いつものようにしぶしぶ付き合わされることになる
あーあ、あそこ走り屋多いんだよな
あーうーっ
こう来るって予想してたのに
なぜ星空のお題で
七夕のことを書いたんだ?
私ってやつは……
とりあえず駅の短冊に書いてあった
「あと1両後ろに停車して欲しい」
が、叶いますようにー