空を見上げる
どこかの文豪が妻の言葉を冒頭に
「東京には空がない」
と言っていたが
星空なんてものは見えない
せいぜい一等星がちらほら見えるくらいだ
明日は七夕
織姫と彦星は晴れていれば一年に一度の逢瀬を楽しむ日
もう出発しているだろうか
デートに遅れるのはマナー違反だからな
とはいえ、
天の川を渡ってお互いの距離をゼロにするには14光年かかるから
前日にでても間に合わないんだけど
なんて思いながら
短冊に願いを書く
いつものネコがまた窓際に遊びに来ますように
「この道の先に海があるよ」
そう言って母は林道を進んだ
母さん?
そこは私有地ですよ
バケーションの時期じゃなくて良かった
閑散とした別荘地で
道の先はどこかの会社の保養所に突き当たる
ちょっとした不法侵入だ
「おかしいなぁー
潮の匂いがしたのにっ」
そういって母は
近道という名の回り道をする
夏休み恒例の良き思い出だ
結局海にはたどり着かなかったよね
母さん
「あなたと私は見えない赤い糸でつながってるんだよ」
そう、知らない人にいきなり言われた
あー、あれだ
ストーカーってやつだ
なるほど
いや、なるほどじゃない
お前は誰だ?
なぜ私だ?
何がきっかけでそう思った?
色々な疑問が頭を巡ったが
口から出た質問はひとつだった
「ねえ、見えないのになんで赤いってわかるの?」
わーソフトクリームみたいだ
夏の代名詞、入道雲をみてそう思った
のもつかの間
竜巻注意報がスマホに入る
竜巻なんて
カンザスのドロシーの家辺りでしか発生しないものだと
子供の頃は思っていた
この頃の異常気象なのか
ゲリラ豪雨に
竜巻
落雷
夏の天気は読み難い
スマホの指示通り頑丈そうな建物に身を隠し
もし建物ごと攫われたら
私もオズの国を目指そうかな
あっれ?
ここ数日のお題、考えるだけ考えて
書いていない……?
ここではないどこかに書き留めたか、
はたまた記憶の海に流してしまったのか
1年後、繊細な花、あなたと最後に会った日
うーむ思い出せない
寝ると脳がデフラグを開始するから