スペリオル

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7/9/2024, 4:08:29 AM

「生駒山上に絶叫マシンならぬ、絶景マシンがあるってCMみたんだけど、
行きたーーーい!」

車を持たない彼女は、俺の車をあてにして駄々をこねる

「お前なあ
七夕だから星を見たいっていって
湾岸まで車出させたの昨夜だったろ」

正直昨夜も深夜に車を飛ばしたわりに
湾岸は思ったより明るくて星はみえなかった為
散々文句を言われたばかりだった

「そもそも昨日星が見えなかったのも
光害のせいだろ」

「光化学スモッグとかってこと?」

「違う、公害じゃなくてひかりがいの方。
街の明かりが夜中まで無駄に光ってるから
星が見えなかったんだろ?
今度はその元凶を見に連れてけってこと?」

本音は生駒山上に行く道の暗峠を通りたくないんだが
結局押しの弱い俺は彼女に

「海と星空と夜景はデートスポットでしょ?男なら四の五の言わずに連れてきなさい!」

と令和の時代にまったくそぐわないわがままに
いつものようにしぶしぶ付き合わされることになる

あーあ、あそこ走り屋多いんだよな

7/7/2024, 1:37:07 PM

あーうーっ
こう来るって予想してたのに
なぜ星空のお題で
七夕のことを書いたんだ?

私ってやつは……

とりあえず駅の短冊に書いてあった

「あと1両後ろに停車して欲しい」
が、叶いますようにー

7/6/2024, 9:04:23 AM

空を見上げる

どこかの文豪が妻の言葉を冒頭に
「東京には空がない」
と言っていたが
星空なんてものは見えない

せいぜい一等星がちらほら見えるくらいだ

明日は七夕
織姫と彦星は晴れていれば一年に一度の逢瀬を楽しむ日
もう出発しているだろうか
デートに遅れるのはマナー違反だからな

とはいえ、
天の川を渡ってお互いの距離をゼロにするには14光年かかるから
前日にでても間に合わないんだけど

なんて思いながら
短冊に願いを書く
いつものネコがまた窓際に遊びに来ますように

7/4/2024, 9:05:50 AM

「この道の先に海があるよ」

そう言って母は林道を進んだ

母さん?
そこは私有地ですよ

バケーションの時期じゃなくて良かった
閑散とした別荘地で
道の先はどこかの会社の保養所に突き当たる
ちょっとした不法侵入だ

「おかしいなぁー
潮の匂いがしたのにっ」

そういって母は
近道という名の回り道をする

夏休み恒例の良き思い出だ

結局海にはたどり着かなかったよね
母さん

7/1/2024, 2:41:52 AM

「あなたと私は見えない赤い糸でつながってるんだよ」

そう、知らない人にいきなり言われた

あー、あれだ
ストーカーってやつだ
なるほど
いや、なるほどじゃない
お前は誰だ?
なぜ私だ?
何がきっかけでそう思った?

色々な疑問が頭を巡ったが
口から出た質問はひとつだった

「ねえ、見えないのになんで赤いってわかるの?」

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