灰色の雲が空を覆っていた。今にも雨が降り出しそうな空の下、あまねは駅のベンチに座っていた。
「…やっぱり、降るかな」
独り言のように呟いたその瞬間、ぽつりと頬に冷たいものが落ちた。あまねは空を見上げる。
「レオ、傘持ってきた?」
隣に座っていたレオは、スマホをいじりながら首を横に振った。
「持ってない。まぁ、降っても走ればいいだろ」
「……バカ」
あまねはため息をつきながら、自分のカバンから折りたたみ傘を取り出した。レオの方に少し傾けると、彼はくすっと笑った。
「やっぱりあまねはしっかりしてるな」
「当たり前。レオが適当すぎるだけ」
雨が降り出した。小さな傘の下、二人は肩を寄せ合うように歩き出した。
「なあ、あまね」
「……何?」
「雨って嫌いじゃないけど、曇りはちょっと苦手だな」
「なんで?」
「なんかこう、スッキリしないだろ。雨は降ったら降ったってわかるけど、曇りって、降るのか降らないのかハッキリしないし…」
あまねは少し考えたあと、小さく笑った。
「レオらしいね。白黒ハッキリしてるのが好きなんだね」
「まあな」
レオはあまねの方を見て、不意に言葉を続けた。
「でも、こんな曇り空の下でも、お前と一緒なら悪くない」
あまねは一瞬動きを止め、それからそっぽを向いた。
「……何言ってんの」
「別に?」
レオはにやりと笑い、傘の端を少し引っ張った。
曇り空の下、二人の距離はほんの少しだけ近づいた。
目を覚ますと、あたりはぼんやりと白んでいた。霧のような光の中、あずははゆっくりと身を起こした。ここはどこだろう? たしか、昨日は普通に家に帰って、ベッドに入ったはずなのに。
「……あずは?」
懐かしい声が聞こえた。振り向くと、そこにはもう二度と会えないと思っていた人が立っていた。
「お母さん……?」
彼女は微笑んでいた。少し若返ったような顔で、優しく手を差し伸べてくる。あずははその手を取るか迷った。これは夢なのか、それとも――。
「久しぶりね」
「どうして……? もう、会えないはずなのに」
「そうね。でも、少しだけなら大丈夫よ」
彼女はそう言って、そっとあずはの髪を撫でた。その手のぬくもりがあまりにもリアルで、あずはの喉が詰まる。
「帰らなきゃ……。私、まだ向こうでやることがあるんだ」
「ええ、わかってる。でも、その前に一つだけお願いがあるの」
「なに?」
「ちゃんと“バイバイ”って言って」
あずはは息をのんだ。ずっと言えなかった言葉。最後に病院で別れるとき、涙で声が出なくて、何も言えずに背を向けたあの日。
「……ごめん」
「いいのよ。だから、今言って?」
あずはは涙をこらえながら、震える唇を開いた。
「……またね、お母さん。バイバイ」
その瞬間、白い世界がふっと光に包まれた。気がつくと、あずはは自分のベッドの上にいた。枕が濡れている。
朝の光が差し込む部屋で、あずははそっと目を閉じた。そして、小さく微笑んで、もう一度だけつぶやいた。
「バイバイ……」
死ネタ 下手 注意⚠
「わぁ、綺麗」
毎回この場所に来ると、君はそう言っていた。
きっと僕と君でよく来ていたこの思い出の場所は、いまじゃ自殺の名所だ。
この崖は立ち入り禁止と言われていたが、景色が綺麗なので幼なじみの――とよく来ていた。
あの夏の日、いつも通り二人で楽しく話していると
「こんな時にごめんね。」
と、急に君がそう言った。
そして次の瞬間、 君が視界から消えた。
一瞬、混乱した。何が起こったか分からなかった。
まさかと思い、下を向くと君がいた。
あの日のことを鮮明に覚えている。
君とみたあの景色は一生忘れない。
今日は特別な日。
密かに好きだったあなたと、一緒に希望へ飛ぶんだ。
同じ病室の隣のベッドで出会った貴方。
家族から嫌われてるってとこも、精神を病んでいるってとこも、年齢も、一緒。
「俺たち運命の相手みたいだねっ!」
あの日そう言ってくれて、嬉しかった。
「いい?」「いいよ。」
お互い確認しあって、飛ぶ 準備をする。
手を繋いで、希望に向かって、
「「せーのっ」」
テーマ:どこ?
いつも妹が1番。
理由はわかってる。
成績もいいし、運動もできる。顔も整っていて信頼も愛嬌もある。
それに比べて私は、成績も悪い、運動音痴、顔はいいほうだが無愛想なので、無駄に顔がいいと言われる。
学校でも、家でも、私は妹の引き立て役。
ねぇ、教えてよ。
「私の居場所はどこ?」