どこかで気づいていた
感謝の気持ちを持てない人間の成長など
高が知れていると
どこかで気づいていた
生意気なアイツも性根の悪いあの子も
家に帰れば愛のある家族が迎えてくれることを
だから理解っている
自分すら大事にできない私は
きっと予後不良なのだと
<無題>
題: 最初から決まってた
天に御座す根は不変を象徴する赫赤
背こうともリズミカルに放たれる棘は
細胞のひとつひとつを串刺し
成す術もなく鼓動を焚きつけられる
己でかたどる闇の色形は見ることなく
月を味方に付け 昼を正当化した
はだかで武器を持たされた赤ん坊のように
善悪の彼岸で俗に関しない品格を纏う孤高の輝きが生まれる
そうして原初で分離した光の破片は
遠き常世でまた混ざり ながれ
すべては薪になる
<脈動>
題: 太陽
それは終わりを告げるサイン
残念だけど、もう間に合わないよ
おしまいなんだ
遠くで鳴っているはずなのに
こんなにも耳のすぐそばで響く慰撫と嘲笑のハウリング
あと少しだったのにね
君はここへは入れない 君を呼ぶためのものじゃない
頑張った子だけが通れる 光あふれる道だから
今までずっとそこで怠けていた君にはあげられない
神様は 努力しない子を救いはしないよ
大きく重厚な扉が閉じてもなお 鳴り止まないそれに
駆り立てられる焦り 後悔 諦め 諦め 諦め
私以外のすべてを歓迎する音
私は歓迎されていないと 思い知らされる音
頭から離れてくれない音
それは何かを祝う鐘の音
<それでも目を離せない>
題: 鐘の音
「お前らそんなんじゃ受かんねえぞ」
受験の神様。
「あの子本当に何もかも完璧で可愛いよね」
クラスの神様。
「突然ですが、あなたは今幸せですか?」
近所の神様。
「今日も配信に来てくれてありがとう!」
ネットの神様。
身内の神様。
部活の神様。
政治の神様。
職場の神様。
支配欲と少しの虚勢で、手軽に誰でも何にでも。
神様たちはこぞって私に問いかける。
「お前は何になりたいんだ?」
——それならば。
「だったら私は、
神殺しの神様に。」
<名乗ったもん勝ち>
題: 神様が舞い降りてきて、こう言った
芸を覚えます 挨拶します 毎日愛をさえずります
自分からケージへ入ります ご飯も残さず食べきります
名前を呼ばれたら すぐに飼い主の元へだって
そんな利口で愛らしい小鳥は いかがですか
涙が出たら手に寄り添って つまらない時は歌ってあげる
高くは羽ばたけなくても 貴方に飼われるのなら
可愛く跳ねるだけでもいいよ
(けどね もし 私が貴方の飼い主だったら
檻の中では勿体無い もっと広くて高いところへ
友達も家族もたくさんいる 二人の世界の外側へ
飛び立っていってほしいと 願わずにはいられなくて)
———ねえ 貴方のこと もっとしっかり鳥籠に
閉じ込めておくべきだったかもしれないね
<風に揺れるカーテン>
題: 鳥かご