かに

Open App
8/8/2023, 1:03:35 AM

どこかで気づいていた
感謝の気持ちを持てない人間の成長など
高が知れていると

どこかで気づいていた
生意気なアイツも性根の悪いあの子も
家に帰れば愛のある家族が迎えてくれることを

だから理解っている
自分すら大事にできない私は
きっと予後不良なのだと

<無題>

題: 最初から決まってた

8/7/2023, 5:22:57 AM

天に御座す根は不変を象徴する赫赤
背こうともリズミカルに放たれる棘は
細胞のひとつひとつを串刺し
成す術もなく鼓動を焚きつけられる

己でかたどる闇の色形は見ることなく
月を味方に付け 昼を正当化した
はだかで武器を持たされた赤ん坊のように
善悪の彼岸で俗に関しない品格を纏う孤高の輝きが生まれる

そうして原初で分離した光の破片は
遠き常世でまた混ざり ながれ
すべては薪になる

<脈動>

題: 太陽

8/5/2023, 5:46:34 PM

それは終わりを告げるサイン

残念だけど、もう間に合わないよ
おしまいなんだ

遠くで鳴っているはずなのに
こんなにも耳のすぐそばで響く慰撫と嘲笑のハウリング

あと少しだったのにね
君はここへは入れない 君を呼ぶためのものじゃない
頑張った子だけが通れる 光あふれる道だから

今までずっとそこで怠けていた君にはあげられない
神様は 努力しない子を救いはしないよ

大きく重厚な扉が閉じてもなお 鳴り止まないそれに
駆り立てられる焦り 後悔 諦め 諦め 諦め

私以外のすべてを歓迎する音
私は歓迎されていないと 思い知らされる音
頭から離れてくれない音

それは何かを祝う鐘の音

<それでも目を離せない>

題: 鐘の音

7/27/2023, 11:23:04 PM

「お前らそんなんじゃ受かんねえぞ」
受験の神様。

「あの子本当に何もかも完璧で可愛いよね」
クラスの神様。

「突然ですが、あなたは今幸せですか?」
近所の神様。

「今日も配信に来てくれてありがとう!」
ネットの神様。

身内の神様。
部活の神様。
政治の神様。
職場の神様。

支配欲と少しの虚勢で、手軽に誰でも何にでも。

神様たちはこぞって私に問いかける。
「お前は何になりたいんだ?」

——それならば。
「だったら私は、
神殺しの神様に。」



<名乗ったもん勝ち>

題: 神様が舞い降りてきて、こう言った

7/25/2023, 11:08:53 AM

芸を覚えます 挨拶します 毎日愛をさえずります
自分からケージへ入ります ご飯も残さず食べきります
名前を呼ばれたら すぐに飼い主の元へだって
そんな利口で愛らしい小鳥は いかがですか

涙が出たら手に寄り添って つまらない時は歌ってあげる
高くは羽ばたけなくても 貴方に飼われるのなら
可愛く跳ねるだけでもいいよ

(けどね もし 私が貴方の飼い主だったら
檻の中では勿体無い もっと広くて高いところへ
友達も家族もたくさんいる 二人の世界の外側へ
飛び立っていってほしいと 願わずにはいられなくて)

———ねえ 貴方のこと もっとしっかり鳥籠に
閉じ込めておくべきだったかもしれないね

<風に揺れるカーテン>

題: 鳥かご

Next