俺は直樹(なおき)君が大好き!
俺の事気遣ってくれるし、俺の好きなお菓子も作ってくれるし、俺の一番の理解者!
この前だって俺がお願いしたら特別にお菓子作ってくれるって言ってくれたんだ!優しいよね~
俺は初めてあった時から直樹君の事が大好きだよ!『軸がしっかりしてて、ダンスがぶれてない...凄いね!』って!!皆は俺の事、顔がいいねとか、イケメンだねとか言ってたけど、見た目じゃなくて中身で見てくれたんだ!あんなの初めてだよ!
メンバーと馴染めなかった俺の手を引いてくれたのも直樹君!居残りの練習に付き合ってくれたのも直樹君!
直樹君は俺の全てなんだよ!俺の人生の半分は直樹君で出来ているって言っても過言じゃないんだ!今、俺がこうして人気があるのも直樹君のおかげ!!ぜーーーっんぶ直樹君!!
でも直樹君は皆に優しいんだ。俺ばっかりじゃない。
誰かが居残り練習する時は必ず付き合ってるし、皆に差し入れでお菓子を作ったり、相談に乗ってあげたりしてるんだ。
凄いよね、だから俺の次に人気がある。人柄が出てるんだよ。
そのせいなのかな、皆にあの優しい笑顔を振り撒いてるんだ。お菓子が上手く出来て嬉しそうな顔とか、ダンスが上達してきて褒めてる顔とか、相談乗ってる時の天使みたいな微笑みとか。挙げるとキリがない。
あのね、直樹君。
俺は直樹君が大好きなんだ。
その笑顔も、優しさも、明るさも、向けるのは俺だけでいいんだよ。俺が特別なんだから。
直樹君、前に言ったよね『海里(かいり)は特別だ』って。
俺も特別だよ、直樹君。
早く俺の物になって.........ね♡
お題 「欲望」
出演 海里 直樹
「...ん」
俺は電車の揺れで目を覚ます。外はすっかり暗く...はなく、青く光る空が広がっていた。
青色に重なる様に流れる水色。混ざり始めた紺色。パチパチと弾ける銀色の小さな丸。
俺はその風景に見惚れていた。
列車に乗った記憶はない。俺が覚えているのは、スマホに向かって今日の小説を書こうとしていたことだけ。此処は一体何処だろう。
前に見た海の底とは違う、鮮やかな青色。
不思議と恐怖心は無かった。
「綺麗だな......」
まるで星空みたいだ。
俺は窓から身を少し乗り出して、前方を確認する。
驚いた、だって列車が宙に浮いているんだから。
「お客様、危ないですのでお止めください」
後方から声がして、車内に顔を戻す。
「すみませんっ......あの、この列車どこに行くんですか?」
「それは私にも存じ上げません。この列車は、今はまだ行き先が決まっていないのです」
「え?それって大丈夫なんですか?」
行き先が決まっていない、なんて。
俺が恐る恐る聞くと、彼は笑って答えた。
「えぇ、貴方様がいらっしゃいますからね」
俺がいるから?
...あぁ、そういうことか。
「では、引き続きこの『列車』をお楽しみ下さい。貴方様の旅路を終えるまで」
そう言って彼は去っていった。
俺は窓の外を眺める。
次は三月だ。
今月も、綺麗な色でありますように。
お題 「列車に乗って」
「......課題が終わらない...」
陽太(ひなた)は机の前で頭を抱えていた。
「だから早めに終わらせとけって言ったのに」
真人(まひと)は向かい側に座ってその様子を眺めていた。
「うぅっ...やろうとはしたんだよ!でもぉぉ」
「休みが終わる二日前にこれだけ残ってるとか、マジで絶望だな」
「もう無理だぁぁぁぁ諦めるぅぅぅ」
陽太は投げだし、床に寝そべった。
はぁ、と溜め息をつく真人。
「わ、わかったよ。やるよ、ごめんって」
「...終わった課題は?」
「え?」
「丸つけぐらいならしてやるよ」
「え!?本当に!!?」
「ハーゲンダッツ一個な。.........冗談だからそんな顔するな。いつものアイスでいいよ」
「真人ぉぉぉぉ神様ぁぁぁぁ」
「陽太、お前は口じゃなくて手を動かせ」
「あ、ハイ」
「...お......終わったぁぁぁぁ!!!」
最後の一問を書き終えると、陽太は両手を天井に向けて背伸びをした。
「良かったな」
「あれもこれも全部真人のおかげだよぉぉぉ!!!ありがとうな!!」
「俺丸つけてただけだけどな」
「だとしても、すげー助かった!!...そうだ!」
そこまで言うと、陽太は部屋を出て階段を駆け降り、急いでまた戻ってきた。
「これ、お礼!」
そう言って差し出してきたのはハーゲンダッツ。
「え、いいのか?それに俺が食べて...」
「おーっと?真人だけが食べるなんて言ってないよ?」
反対の手からもう一つのハーゲンダッツが出てきた。
「共犯になってくれよな」
「ん~幸せ~」
「...そういえば、夏休み明けたらテストあるけど陽太大丈夫か?」
「...............ハーゲンダッツ美味しいなー」
「おい」
お題 「現実逃避」
出演 陽太 真人
ねぇ、あの二人さ仲良くなったんだって。
俺は友達として凄く嬉しいことだよ。
でもさ、葉瀬(ようせ)はどうなの?ずっとあの二人のこと見てるけど。
本当は嫌なんじゃないの?拓也(たくや)と秋(あき)ちゃんがくっつくの。
俺、前に秋ちゃんと葉瀬が話してたの偶然聞いちゃったんだ。葉瀬も拓也が好きなんでしょ?今ではよくわかるよ。
だって今、凄く悩んでる顔してるよ。
俺、葉瀬のそんな顔見たくなかった。それが他の人に向けられてほしくなかったよ。
葉瀬は今どう思ってるの、なんて俺には聞く勇気がないからさ、出来ればタイミングが合った時に葉瀬から話してほしい。
ごめん、俺って凄く我儘だよね。
二人が仲良くなってくれて嬉しい。
秋はまだ自覚はしてないっぽいけど、拓也の事絶対好きだよね。拓也はわかりやすい。
両思いなのは凄くいいけど、ここにも居るんだよ。秋の想い人。
ね、玲人(れいと)。
前に聞いたタイプってさ、秋の事でしょ。わかりやすいなぁ。特徴一致じゃん。優しくて、綺麗で、可憐って、まんまかよ。
拓也の事、応援したい。でも私の好きな人の事も応援したい。
秋が羨ましいな。残念だけど、拓也の事は憎めないな。
好きな人の好きな人の好きな人?だから。これじゃよく分かんないな。複雑複雑。
ねね、玲人は今、この状況をどう思ってるの?って聞けたら楽なんだけど。
玲人も秋じゃなくて、私にすればいいのに。
なんて、欲張りかな。
お題 「君は今」
出演 玲人 葉瀬 秋(名前) 拓也(名前)
「実はさ、今日下駄箱にこれが入ってたんだ」
お昼休み、屋上でご飯を食べながら陽太(ひなた)は俺の前に一枚の封筒を見せる。
「...それが何?大事な物なの?」
「も~🐄真人(まひと)クンわかってないなぁ~(^o^;)そんなんじゃ駄目だゾッ❗陽太クンがメッ❗してあげるヨ☺️」
「無視して良い?」
「ごめんって!冗談だよ!」
俺は慌てる陽太を横目で見る。
「それで?...その手紙がなんなの?」
「これね、ラブレターだったんだよ。しかも匿名の」
「へぇ」
「もっと乗り気で!!SAY COME ON!それでそれで~!?」
「......それでそれでー」
「心のこもってない返事っ......まぁ宜しい。手紙にね『好きです。もし付き合ってもらえるなら、昼休みに校舎裏に来てください。』って書いてあったんだー」
「...今昼休みだけど良いの?」
「うん。俺、誰か分からない告白は最初から振るって決めてるんだ」
「なんで?」
「だって、誰から貰ったか分かるからこそ!その人から愛を受け取ったって感じるんだ~」
「の割りには誰からの告白も受けてないくせに」
「ギクッ。だ、だって好きな人いないし...」
「なんだそれ。じゃあそのラブレターの愛、俺に半分わけろよ。あと適当に彼女作れよ」
「それは駄目!俺の美学に反する!」
「めんどくさ」
「まぁ真人も告白されたら分かるよ。誰か分からない愛なんて、受け取っても手から溢れてるように感じる状況」
...それが、まさしく今なのか。
俺は今日の昼休み、大学の中庭に呼び出された。目の前で頬を赤らめた女性が何か言っている。
「あの...だから......私と付き合ってください!」
“誰か分からない愛なんて、受け取っても手から溢れてるように感じる状況”
本当、まさにその通りだ。
「...ごめん、付き合えない。というか君は誰?」
「お前、また振ったのかよ~真面目だよな~」
実(みのる)が俺に話しかける。
「一回くらい女の子と遊んでみたいとか無いわけ?それに、別に一回くらいならいいんじゃない?まぁお前が振ってくれるお陰で俺は女の子と良い感じになれるんだよなー.........っておい、無視すんな」
「......そういう実こそ、恋人大事にしないといけないんじゃないのか?いつか捨てられるぞ」
「それはないな。俺がいくら遊んでもアイツ怒んねぇし」
実は自信満々に答える。
「...俺、次の講義あるから行く」
「お、じゃーなー」
俺はコイツみたいにだけはなりたくない。
陽太の美学に、俺も反したくはないから。
お題 「Love you」
出演 真人 陽太 実