hot eyes

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2/19/2024, 1:35:23 PM

「う゛......寒...」
買い物帰り、突然吹いた風に彼女はスーパーの袋を持って身を縮こませている。

「...あ、見てみて~」
彼女はしゃがむと一枚落ちた葉っぱをつまみ上げる。
「玲人(れいと)とおんなじ色~」
そうやって見せてきたのは茶色の乾燥した葉っぱ。俺の髪色と似ていた。
「似てるね~」
「でしょ~持って帰る」

そう言って彼女は葉っぱをコートのポケットに突っ込んだ。俺が気づいた時には遅く、彼女のポケットから、クシャッと音がした。

「ん?」
ポケットから手を取り出すと、それはまぁ粉々でばらばらと溢れ落ちてきた。
「...!......!...!」
あまりにもショックだったのか口をぱくぱくとさせるだけで、なんだか可哀想に見えてきた。
「せ...折角拾ったのにっ......」
「あ、はは......」
「うわぁ、コートのポケットが......」
次にコートのポケットを見て絶望していた。
「乾燥した落ち葉は割れやすいんだよ」
「......忘れてた...」
「こういう乾燥した落ち葉で焼き芋とか焼いてたよね」
「あぁ、懐かしい」
「懐かしいっていつの時代だよ」
「弥生」
「そこは縄文じゃないのかよ」
軽口を叩きながら並木通りを歩いた。

そこで再び風が吹く。
「うぇっ、寒」
「うぐっ」
マフラーに顔を埋め、また身を縮めている。この時だけ、俺は身長で彼女に勝てる。
「......寒い」
「そうだね」
「.........手繋いで帰った方がいいんじゃない?」
「......え?」
驚いて俺が向くと、頬を赤くした彼女がいた。じっ、とこっちを見つめてくる。これは、稀に見る彼女のデレ隠し。普段こんな風に甘える事がないからちょっと嬉しい。

「...そうした方がいいかもね。はい」
「え、本当?わーい、寒いからポケットに入れるね~」
彼女は嬉しそうに俺の手を取ってポケットの中に二人分の手を入れた。

ガサッ、と音がした。

彼女は静かにポケットから二人分の手を出し、俺のコートに入れた。
「わーあったか~」
「今無かったことにしたよね?」
「ん?」
「いやおい」


ツッコミを入れて、俺達はそのまま並木通りを歩いていった。

お題 「枯葉」
出演 玲人 葉瀬

2/18/2024, 4:40:45 PM

今日まで、俺には彼氏がいた。

でも振られた。というか振った。

気づいちゃったんだ。

俺が本当に好きだった彼の事。

彼氏と彼はイコールだよ。

本当だよ。

彼氏は付き合ってる間。

彼は付き合う前。

俺は彼氏が好きなんじゃない。

彼が好きだったんだ。

思い出したら笑っちゃうよね。

笑いすぎて枕びちゃびちゃ。



「____忘れよう」



彼氏の事はきっと寝たら忘れる。

今日は昨日になる。

過去になれば、きっと忘れられる。

だから今日と別れなくちゃね。



さよなら、今日。はじめまして、今日。


お題 「今日にさよなら」
出演 雪

2/14/2024, 5:01:48 PM

「お疲れ~」
「おつー」
「お疲れ様~」

各々の楽屋に皆戻る。ファンの歓声がまだ耳に残っている。

今日は俺の所属しているグループ『hope』のバレンタインライブイベントだった。バレンタインならではの恋愛ソングや失恋ソングを歌ったり、握手会を開いたり等々、俺達は今日凄く忙しかった。

「直樹(なおき)君お疲れ様~」
「海里(かいり)もお疲れ」

俺の楽屋に入ってきたこの人は、海里。グループの中でも一番の人気を誇っている。ライブでの団扇の数も、握手会に来ていたファンの人数も、断トツでトップ。顔だけがいいんじゃなくて性格までいいのだから人気があって当たり前なのだが。
「あ、そうだ。海里、はい」
「............え?」
「え?って。今日バレンタインだろ?だからチョコ」
俺は海里に紙袋を渡す。海里はまじまじとその袋を見ていた。
「............もしかして嫌だったか?」
「え!?いや嬉しい、ありがとう...!!これ...直樹君の手作り?」
「うん、まぁ」
「凄い!家宝にするね!!」
「家宝にしなくていいから食べろよ」
海里は何かこういうところがちょっと変というか何というか。不思議だな、と俺は思う。

「嬉しい......あれ?直樹君、なんで他にもこんなに袋があるの?」
海里は机に置かれていた紙袋達を指差した。
「他のメンバー用だよ。あとスタッフさんとか」
「.........ふーん」
「じゃあ俺、行くから。海里も自分の楽屋でゆっくりしろよ」

俺がそう言って出ようとした時、ガッと腕を掴まれる。

「海里?」
「ねぇ、それも手作りなの?直樹君の手作りを他の皆にもあげるの?」
「そうだけど?」
「......別に手作りじゃなくてもいいじゃん。市販のとかでもさ」
「海里にだけ特別とか出来ないだろ」
「...............」
「ほら、俺もう行くから離せ。海里。ほら」
「............」

海里は一向に手を離そうとしない。こうなった海里は凄く面倒だ。拗ねてる理由が解決しないとずっと駄々こねるやつ。いつも本当にわからない。

今回は本当になんでか分からないから面倒だ。

「...はぁ、もう。じゃあ今度から海里に特別にお菓子作ってあげるから」
「本当?」
「本当。わかったら手離せ」
「絶対だよ?絶対だよ?」
「はいはい絶対絶対」

俺は半ば呆れたように答えた。
「...なら許す」
そう言って海里は俺の手を離してくれた。
「ありがとう。じゃ、またな」
「...また」

そうして俺は楽屋を出て、お菓子を配り歩き始めたのだった。

お題 「バレンタイン」
出演 直樹 海里

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【お知らせ】

初めましての方は初めまして。ご存知の方はお久しぶりです、hot eyesです。

実は更新が止まってしまった日、アカウントのデータが突然消えてしまい初期状態となってしまいました。問い合わせをしましたが、どうにもならず勝手ながらショックで暫く休んでいました。

現在、新しくアカウントを作り直し、投稿を再開しています。

しかし私生活が暫く忙しくなる為、1~2週間程お休みをします。その中で時間が出来次第、更新していく予定です。誠に勝手ながら申し訳ありません。

これからもhot eyesを引き続き、よろしくお願いします。