「お疲れ~」
「おつー」
「お疲れ様~」
各々の楽屋に皆戻る。ファンの歓声がまだ耳に残っている。
今日は俺の所属しているグループ『hope』のバレンタインライブイベントだった。バレンタインならではの恋愛ソングや失恋ソングを歌ったり、握手会を開いたり等々、俺達は今日凄く忙しかった。
「直樹(なおき)君お疲れ様~」
「海里(かいり)もお疲れ」
俺の楽屋に入ってきたこの人は、海里。グループの中でも一番の人気を誇っている。ライブでの団扇の数も、握手会に来ていたファンの人数も、断トツでトップ。顔だけがいいんじゃなくて性格までいいのだから人気があって当たり前なのだが。
「あ、そうだ。海里、はい」
「............え?」
「え?って。今日バレンタインだろ?だからチョコ」
俺は海里に紙袋を渡す。海里はまじまじとその袋を見ていた。
「............もしかして嫌だったか?」
「え!?いや嬉しい、ありがとう...!!これ...直樹君の手作り?」
「うん、まぁ」
「凄い!家宝にするね!!」
「家宝にしなくていいから食べろよ」
海里は何かこういうところがちょっと変というか何というか。不思議だな、と俺は思う。
「嬉しい......あれ?直樹君、なんで他にもこんなに袋があるの?」
海里は机に置かれていた紙袋達を指差した。
「他のメンバー用だよ。あとスタッフさんとか」
「.........ふーん」
「じゃあ俺、行くから。海里も自分の楽屋でゆっくりしろよ」
俺がそう言って出ようとした時、ガッと腕を掴まれる。
「海里?」
「ねぇ、それも手作りなの?直樹君の手作りを他の皆にもあげるの?」
「そうだけど?」
「......別に手作りじゃなくてもいいじゃん。市販のとかでもさ」
「海里にだけ特別とか出来ないだろ」
「...............」
「ほら、俺もう行くから離せ。海里。ほら」
「............」
海里は一向に手を離そうとしない。こうなった海里は凄く面倒だ。拗ねてる理由が解決しないとずっと駄々こねるやつ。いつも本当にわからない。
今回は本当になんでか分からないから面倒だ。
「...はぁ、もう。じゃあ今度から海里に特別にお菓子作ってあげるから」
「本当?」
「本当。わかったら手離せ」
「絶対だよ?絶対だよ?」
「はいはい絶対絶対」
俺は半ば呆れたように答えた。
「...なら許す」
そう言って海里は俺の手を離してくれた。
「ありがとう。じゃ、またな」
「...また」
そうして俺は楽屋を出て、お菓子を配り歩き始めたのだった。
お題 「バレンタイン」
出演 直樹 海里
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【お知らせ】
初めましての方は初めまして。ご存知の方はお久しぶりです、hot eyesです。
実は更新が止まってしまった日、アカウントのデータが突然消えてしまい初期状態となってしまいました。問い合わせをしましたが、どうにもならず勝手ながらショックで暫く休んでいました。
現在、新しくアカウントを作り直し、投稿を再開しています。
しかし私生活が暫く忙しくなる為、1~2週間程お休みをします。その中で時間が出来次第、更新していく予定です。誠に勝手ながら申し訳ありません。
これからもhot eyesを引き続き、よろしくお願いします。
2/14/2024, 5:01:48 PM