雑穀白米雑炊療養

Open App
5/17/2024, 12:45:20 AM

Iがあれば大体なんでもできるらしい。
ただし不可抗力。なおそれも解決するだけの模様。Iだからとのこと。
Iでできるのは生きること。
愛でできるのは生きる自分を根本的に愛すること。それは逃げることでも己を己に隠すことでもなく。
だと思う。多分。未だあいのわからぬ未熟者青二才の感想。

5/13/2024, 3:44:45 AM

子供だから執着すると言うか、執着するから子どものままというか。
ぶつぶつと独り言を言いながら自分は自己価値を剪定している。その幼駒の様を眺めながら自分は足を抱える。
下手な剪定は枝葉を不格好に仕上げてしまっており、庭師の自分は口に含む雨を転がしながら乱暴に頭を掻き毒づいた。そもそも期待しないでくれと。外の価値を剪定しても、内側の木は手入れされず根腐れ気味で伸び放題だ。木に飲まれつつあるブラックボックスはノイズの酷いぶつ切りツギハギの音声を流し続けている。その前で蹲る自分は体を震わせる。啼いて血を吐く。
外と内なる。自分は恨めしそうに僕を見る。当然のことだった。恨まれるも憎まれるも仕方ないほどのことをしたと思う。そう思われることに安心する僕が居る。許されているようにしている時の不確かな足元よりも、余程不安がないからだろう。つくづく生ぬるい。
罵倒は安心する。殴られるのも蹴られるのも。それをされるだけの価値があるような気がしてしまう。だから木の向こうを見るのを躊躇う。あの木の向こうの自分は僕を赦すから。どう扱うも扱われるも僕の自己愛と自由の名の下にある。
泣く僕は子供のままだ。怨嗟の逃げ道を焼き落とすまで。

5/12/2024, 8:46:05 AM

愛、哀、Eye、I、己を叫ぶ。絶叫する。あいを見るなら己をも。

5/11/2024, 6:18:06 AM

モンシロチョウ、紋白蝶、もんしろてふ、学名pieris rapae。Artogeia rapae crucivoraだったりもする。卵はキャベツにつけるし幼虫はキャベツを食うので英語ではcabbage butterfly、あるいはsmall cabbage whiteなどと。
ピエリスはギリシアの知的活動を司る神々ムーサ(ミューズ)の別名、または別個の神らしい。よくわからない。クラクラとする頭でぼんやりと周りを飛び回る紋白蝶を認識する。
少し指を差し出せば待つこともなく蝶が留まる。時折去来する空腹を誤魔化すために留まった蝶を口に含む。鱗粉が呼吸器を満たし眼球を突き刺す。ここには何も無い。
自分の下にあるハッチの向こうは溝と油と血の溜まり。掠って出てくるのは自分の骨だ。底は堆積物で見えず、堆積した泥だか糞だかはそこそこの高さかもしれない。
輝き舞い散る鱗粉が僕の眼球を突き刺す。下の溜まりは顔を突っ込むと僕が叫ぶ。脳が焼き切れる。これは推して参るか退却か。策は思いつかない。骨も僕なら飛び回る蝶も僕だ。
何も見たくなかったからハッチを付け、ここを何も無いものにした。ここには蝶の留まる花も作物もない。そうなるべきだったものを僕は骨にして沈めたから。復元した僕の経過観察をする。

4/30/2024, 10:13:00 AM

お題:刹那



「善悪は社会のルールであって、人間の根本ではないんじゃないかな」
三つの本棚、三つの椅子、一つのテーブル。窓の無い部屋はいつも明かりがついており、そこに少年一人と少女一人がいる。現在少年と少女はこの部屋に詰めて任された仕事をしている。少年と少女は手足には繋がる先のない紐か枷を付けているが、それを延長し、自身の首に掛けた細縄に繋いでいる。
「それがどうかしたの」
少女は声にも顔にも表情無く聞く。
「いや、何となくそう思って…善悪ってなんかいやだなぁって」
静かなこの部屋には物音や声はよく響く。やや暫く音が止む。
「それが集団の現状で一番合理的だからルールになる。暇だと思うなら仕事して」
少女が語ると同時に物音は再開する。少年は呻く。
「ここに詰め始めてから結構経ってない?早く帰りたいなぁ…」
「まだ一割前後しか終わってないから駄目」
少女の返しに少年は大いに落胆した。
「あ゙ぁーっもう駄目だぁ、お終いだあ…帰る頃にはジジババになるぅ…忘れ去られしものになるぅ…」
「ならん。あとジジババは別に忘れ去られしものではない」
少年はまたも呻き、テーブルに突っ伏す。
「お外で遊びたーい…砂場遊びしたーい木登りしたーい山行きたーい」
「遊べる体がないな」
「そうだけど…ていうかその言い方なんかやだな…なんかこう」
「他意はないぞ思春期」
少女は少年が言い切る前に切り捨てた。少年はお前もだろうというように少女を軽く睨む。
「お前はすぐ高所に行くけど、そう言えば昔からよく言うな、馬鹿と煙は高いところが好きって」
「流石にひどいよ」
少年は毒舌に傷ついたようにした。
「僕は外にいると活き活きするんだよ。外で動き回るのが生き甲斐なんだよ。飼い殺しはやだよー」
少年は手足をばたつかせ訴えた。部屋に詰めてから何時間か何日か、はたまた何年かもわからないことからの不満を発する。
「やることほっぽり出せないし、外で野放図にしすぎると危ない。それにそもそも動き回れる身でもないよ」
少年は極めて不服そうに口を噤む。暫く少女の作業音だけが響く。少年が突っ伏した状態から起き上がり、椅子の背に凭れるような姿勢になる。
「君は砂に埋もれたよ、僕は知らない海辺で捨て置きだ。死体は乾かないなら邪魔だから」
少女は不満げにする。
「急に嫌味?でも私が埋もれたのは砂じゃないんだけど」
「詩的な表現だよ」
少女の眉間に軽くシワが寄り、ため息を吐いた。
「表現だとしても、そう思うってことはお前がそうなりたかったんじゃないの」
不機嫌な声色で少女が問う。少年は座り姿勢を戻す。
「えーんひどい、図星だけど」
「やっぱり」
少年の間延びした棒読みに少女はジト目になった。
「誰にも覚えられてないって寂しいなぁ」
「餌になるよりマシじゃないの」
少年はやや俯く。
「人に覚えられてないのに意識ははっきり残ってるのって、なんかキツいなぁ」
暫く沈黙が降りる。
「死んでも意識があるなら死ぬってなんなんだろう」
少女が疑問を口にする。
「一部のつながりが遮断されること?」
一人ぼっち、と少年は呟く。
少女はなんとも言えないという返事を返した。果たして完全に遮断されたと言えるだろうかと。少女は疑問を続けた。
「自主性が生きるってことなら私達はまだ生きてるの?」
少女は更に続けた。
「存在によく言う死ってあるの?死の状態そのものに自主の意味があるなら無いんじゃないの?」
少年もまたなんとも言えない。
「じゃあ僕が生きる意味ってなんだろ」
少年と少女は、一度、数多ある磔刑に一つとして掲げられた。罪科ありし者として、当然の帰結というものを辿っていた。
「生きるのに明確にわかる意味って必要?」
「そうじゃなくて、僕が納得する落とし所だよ」
「同じ意味じゃないの」
少年は少女の返しに口を少し尖らせ、やや経ってからなにか思い出したように緩く笑う。
「僕は昔光石の洞窟に入ったことがあるんだよ。すごくキラキラしてたんだ」
「ふぅん」
「僕もあの石みたいになりたいなって」
「お前は石にはなれないけど」
少年は嗤う。
「不幸は歌える。お前も」
「歌わなくなるようにこの仕事してるんだけど。それに自虐は何にもならないぞ。私もお前も同じだし。そもその光石に失礼では?」
少年は再度椅子に凭れる。
「あんまりすぐに捨てなくても、私とここに詰められてるっていうのにも意味はあるんじゃないの。私と居るのが嫌でも」
「嫌じゃないけど」
「あそう」
やや長く部屋が静まり返る。
「なんか急に考えるの面倒くさくなってきた」
少年の発言に少女は思い付きを返す。
「じゃあやめろ。その方が良い。利口にしてれば死にはしない」
少女はニヒルな笑みを浮かべた。
「いまので何かもっと色々やんなった…もう死んだよ…嫌味やめて…」
「未処理の書類はまだまだあるぞ」
少年は見るからにげんなりとした表情をした。
「残念だろうがなんだろうが、この仕事を受けたのは私達だ。全部に意味を見つけよう、自らへの恩赦に」
「あ゙ーう…」
思考の間。念は刹那に起こるものという。その刹那に起こる念が動きの全てならば、整理整頓というのも逃げるか回り道をするのでなければそれ程長くはかからないのではないか。

ルール、善悪、生きる意味、刹那。目指すもの、自己の定義、有る者の自由、己の一つ。

Next