陽葵

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11/27/2023, 3:06:39 PM

#愛情

愛情とは何だろう? 
思わず、辞書を取って調べる。

愛情とは、人や物を心から大切に思うあたたかい気持ち
らしい。

なるほど…。
どうやら愛情と呼ぶものは、
色々なものが対象になるようだ。

私の愛情は何に向けられているだろう…?

美味しいご飯を作ってくれるお母さん。
私の事を大好きな気持ちが隠せていないお父さん。
私に勉強を教えてくれるお兄ちゃん。
大好きな家族に向けられた私の気持ちは
きっと愛情だろう。

学校で仲の良い友達と話す時間。
ちょっと怖いけれど、話すと面白い先生の授業。
金賞目指して部活のみんなと演奏する時間。
一度しかない学生時代。
テストだったり、部活で怒られたり嫌な事もたくさん
あるけれど、毎日楽しんでいるこの時間も
きっと愛情だろう。

振り返れば、私はたくさんのあたたかい気持ちをもって
過ごしているようだ。

そしてまた、私が向けた愛情は
私に返ってきているのだろう。
だって毎日楽しいから。単純だけれど、毎日楽しいってとっても凄い事だと思う。
愛情に溢れた毎日を大切に、大好きな人達に
「ありがとう」を伝えていこうと思う。

11/26/2023, 11:37:35 AM

#微熱

「ほら、熱あるじゃない…。学校に連絡入れておくね」

幼い頃は熱が出ると学校を休んでいた。
今思えば、微熱と呼ばれるくらいだった。
それでも下がり切るまでは家で過ごしていた。

大人になった今、微熱が出ても仕事は休めない。
薬を飲んで、微熱がある事を隠して自分を騙していく。

今日も仕事の疲れが出たのか微熱が出た。
幸い、今日は休みだ。

「はぁ…、休みでよかった….」

「大丈夫?休みで良かったかもだけど…」

思わずため息と共に呟いた独り言に被せて
心配する声が聞こえた。
半年前から同棲を始めた彼氏だ。

「ごめんね、ありがとう」

「ごめんはいらないよ。頑張ったんだから」

「…っ、うん。ありがとう」

「お粥作ったんだけど…」

「えっ…!食べる食べる!」

料理なんて無理って普段言っている彼なのに。
思わず飛び起きてしまった。

「大丈夫??そんなに早く起きたら悪化するかもよ」

「あは、そうかも」

「ええ、ダメじゃん…!」

「嘘だって、大丈夫。ありがとう」

思わず彼をからかってしまったけれど、
あなたの優しさで熱も下がりそうよ。
それよりも、嬉しさで高熱になってしまうかもね?

11/25/2023, 10:34:06 AM

#太陽の下で

「ねえ、まってよ〜」

「もう、しょうがないなぁ」

ある晴れた日、近所の子ども達の声が聞こえてくる。
ねえ、昔の私達みたいじゃない?

しっかり物な私と、鈍臭いあなた。
子どもの頃は私の方が背が高くて、
いつもあなたは年下だと思われていたわね。

あの時から私の事が好きだったあなた。
男らしく見られない事が悲しくて、家で泣いていたって
結婚式でお義母さんから聞いた時は笑っちゃった。
あなたは隣で照れながら怒っていたけれどね。

あなたが隣からいなくなって、もう5年。
最初の1年は悲しくてしかたなかったけれど、
アルバムから出てきた、見た事のない
あなたの変顔写真に元気をもらったわ。
これ、いつ撮ったの?

付き合い始めは変顔写真ばかり撮っていたのが
懐かしいわ。
まさか、いなくなってからおじいちゃんになった
あなたの変顔写真を見る事になるとは
思わなかったけれどね。

ねえ、そっちの天気はどう?
こっちは良い天気よ。
早くあなたの隣にいきたいって思っていたけれど、
もう少し先になりそうよ。
だってこんなに良い天気なんですもの。
久しぶりにお弁当を作っているのよ。
太陽の下で食べるお弁当は美味しいから。

私がそっちに行ったら、一緒にお弁当食べましょうね。
あなたがいる所は太陽の上かしら?

11/24/2023, 12:10:52 PM

#セーター

"今年の冬は記録的な寒さになるでしょう"

朝、寝ぼけた目を擦りながらニュースを
流し見しているとそんな言葉が聞こえた。

嫌だなぁ、寒いのは苦手なのに。

単純に寒さに弱いだけもあるけれど、
今年の冬は1人で過ごさないといけないから。

2年前に同棲を始めた彼は、
今年の夏に仕事でパリへ行ってしまった。

来年の夏には帰って来るけれど、
同棲して初めて1人きりで過ごす冬。
そんな年に記録的な寒さだなんて。

「もう、早く帰ってきてよ…」
思わず漏れた声をかき消すかのように
チャイムがなった。

「え、こんな朝早くに誰…?」

「すみません、速達です」

「あ、ありがとうございます」

誰からだろう…。しかもこんな時間に。

「嘘…」
宛名を確認すると彼からだった。

思わず袋を破ると、中からセーターが出てきた。

"今年の冬は一緒に過ごせなくてごめんね。
 君がいなくて、パリで凍えそうだよ笑
 お揃いのセーターを買ったから送るね。
 来年の冬は一緒に過ごそうね。大好きだよ"

手紙と共に、同じセーターを着た
彼の写真が入っていた。

「もう、私も凍えそうなんだけど…笑 大好きだよ」

さっきまで寒さで震えていた体が
彼の笑顔とセーターで温まった気がした。

11/23/2023, 11:26:44 AM

#落ちていく

"あんな奴、やめなよ…"

そう、何度言われただろう。

自分の機嫌だけで、私の事を振り回す彼。
夜中だろうが、会いたいと着信が来る。
でも、私が会いたいと言った時に
彼の都合が悪いと怒鳴られる。
いつも彼の顔色を伺いながら、私はなんて事ない顔で
彼に笑いかける。

所詮、クズ男と呼ばれる部類に彼は属するだろう。
彼と付き合うまで、私は友達の立場だった。
何で別れないの?今、泣いているじゃない。

そう、友達に言った事さえある。
彼女達は揃って
でも、だって、と彼氏の優しさを話し始めていた。
第三者が何度別れろと言った所で結局は好きな気持ちがなくなる事はなく、別れる事は選ばなかった。

あの時は彼女達の事を理解する事ができなかった。
でも、今なら分かる。

彼の事が好きなのだ。
他人には無愛想な彼だから、
私にだけ心を許してくれているかのような笑顔が
愛おしくなる。
普段は怒鳴ってばかりいる彼だけど、何でもない日に
感謝の言葉と共に渡される一輪の花に胸が高鳴る。

私だけが彼を愛する事ができる。
私だけが彼の全てを知っている。

冷静になれば、
別れた方が正解だと言う事も分かっている。
それでも、彼の優しさに、笑顔に、
今度こそ別れ話をしなければという決意が消えていく。
これを依存というのだろうな。

朝の光に照らされ、
キラキラと輝く彼から貰ったひまわりの花に
彼の笑顔を思い出し、今日も私は彼へと落ちていく。


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