彼が
ほしとりにいくと言い出した
『星鳥によろしく』
なんだよ、それ、と彼は笑った
『うまく撮れたら、見せてくれよ』
まかせろ、と彼は
見慣れない道具を担いで
意気込んで出掛けていった
それっきり、帰ってこない
彼は【星を採り】に行ったのだ
ここを出るときには、
もう、僕より狂ってた。
↦↦↦↦↦↦↦↦↦↦[それからそれから]
星採りは帰ってきた
もうむちゃくちゃ
腕は網とくっついてるし、
目なんか7つもある
『存外変わったじゃあないか。
星はトレタかい…?』
すると彼は得意そうに、
星は採れるかどうかではなく
採るか採らないかなのさ、と言った
彼の7つの瞳はキラキラと輝き
急に僕の方が化け物のような気がした。
[ホシガアフレル]
愛
と
平
和
を
金
と
醜
悪
で
[人見知りだと思ったらただの人間嫌いでした]
許してほしくて
ずっとここで待っていました
そのかいあって
あなたに出会うことが出来ましたが
その隣には
あなたにとっても幸福
わたしにとっての絶望がいたのでした
他者を理由に
ここにとどまり続けたわたしに
あなたは軽蔑の一瞥を向け
わたしの過ぎ去りし日々さえ
粗悪なニセモノにするのでした
[どんな私も許してほしかった]
マネジメントされたテレビ番組
菩薩様のように微笑む老婆
『お見合いだったのだけど、
そのひとの真っ黒に汚れた爪を見てね、
働き者だと思ったの』
はて、
私は、これから迎えに来る男の
どこが好きなのだろう
かわいいっていってくれるところ?
何でも買ってくれるところ?
真っ赤なFerrari?
テレビの老婆はなおも声を上げて笑う
『そうねぇ!
生まれ変わったらまた、一緒になってあげてもいいねぇ。
またきっと、苦労ばかりだわね!』
嗚呼、なんだ。
この老婆も私も
所詮はその人に愛される自分が好きなのだ。
細塵で最大の
老婆になっても愛してもらえるかという違いはあるが
それはその時考えればいい
私はいつもどおり鏡に妖艶に微笑んで、自分に言う
「いってきます」
[愛という戦略的侵略戦争]
パールアカシアの香りに
ふと立ち止まりおもう
「果たして、いつまで『いつもどおり』なのだろう」
この『いつもどおり』はいつからのものだろう
貴女はカミサマのところに家出をして
もう僕の名を呼ばなくなった
戀しくて足りなくて埋められなくて
ただふらりふらりと彷徨う『いつもどおり』
難しいお顔ですわね、と
昨日会ったばかりの女が隣手に微笑む『いつもどおり』
「帰ってくれ」
違うんだ、もう僕に還しておくれ
恐ろしく儚いくせに永遠の顔をするのはやめておくれ
[いつもどおりの魔法]