茜空と闇夜の斑

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マネジメントされたテレビ番組

菩薩様のように微笑む老婆



『お見合いだったのだけど、

そのひとの真っ黒に汚れた爪を見てね、

働き者だと思ったの』



はて、

私は、これから迎えに来る男の

どこが好きなのだろう



かわいいっていってくれるところ?

何でも買ってくれるところ?

真っ赤なFerrari?



テレビの老婆はなおも声を上げて笑う

『そうねぇ!

生まれ変わったらまた、一緒になってあげてもいいねぇ。

またきっと、苦労ばかりだわね!』



嗚呼、なんだ。

この老婆も私も

所詮はその人に愛される自分が好きなのだ。



細塵で最大の

老婆になっても愛してもらえるかという違いはあるが

それはその時考えればいい

私はいつもどおり鏡に妖艶に微笑んで、自分に言う




「いってきます」




[愛という戦略的侵略戦争]

3/9/2024, 6:24:28 AM