スープ

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7/15/2025, 4:16:21 AM

夏だね、と。

匂いとか、味とか、音とか、ほんとうに夏がそこにいるのか分からないけど、なにかの気配みたいなものを感じとって、夏を知る、或いは夏を期待する。
それを誰かに伝えたくなる。

そういうことってあるでしょう。
みなさん、夏ですね。

酷暑といわれるようなこんな暑さだけれども、暑ければ夏かと言われればそうではない気がする。私たちが夏だと思うから夏なのです。だから伝えたいんじゃない?確かめ合いたいんです。

7/5/2025, 1:23:40 AM

風を切る音が、一段と低くなったような気がする。湿度、という言葉が頭に浮かんだ。じっと立ちすくんだところに、やっと風が吹き付けても汗ばむばかり。
それなら、とペダルを踏む。この風は夏の匂いがする。夏が青色をしているなら、青い風。街路樹の生命、日傘の人並み、光エネルギー。湿度。それを青と呼ぶならこれは青い風なのだ。

風を切る音が、一段と低くなった気がする。私はペダルを踏み、錆びたチェーンが回りだす。

7/3/2025, 11:07:10 PM

遠くへ行きたい、と思ってここまで来たはずなのに、まだ何かに追われているような感覚がある。
毎日通った、家からバス停までの路上。その道のりが段々短くなっているみたいに感じた。それくらい街は日毎に退屈で、小さくて、そこにいるだけで追い詰められるような気がしていた。街から出ることが最優先だったはずなのに、ここまで来てもその感覚は消えてくれない。

思うに私を追いかけているのは、どこまでも私なのだ。私から逃げ出すためには。或いは。

5/8/2025, 1:47:40 AM

木漏れ日が必要になることは少ない。
ありますか?頼まずとも、様々な光があなたを突き刺すこの時代に、特別木漏れ日を求めたことを。
必要、不必要というより、多くの人の考えにも挙がらない。そういった方が正しいかもしれません。

さればこそ木漏れ日は美しい。

代わりは幾らでも在る。それこそ頼まずとも。
特別求められることもなければ、嫌われているわけでもない。
ただそこでやさしく佇んでいる。

さればこそあなたは美しい。
木漏れ日のようにあなたは美しい。

5/1/2025, 5:43:15 PM

今はただ、原動力を、今日まで自分を動かしていたはずの理由を、失いたくないのだ。
やっとの思いで、騙し騙しで、ここまで来たのに、その醜い悪あがきを昔話にして笑えるほど、大人になれちゃいないのに。
ここでエンジンを失ってしまえば、もう二度と、それは自分の中には帰ってこないものだと予感できる。
それなのに、アクセルを踏むのが怖い。

本当は分かっている。進まなければいけない、さもなければ、そのうち俺の足はギブスを巻いたかのように固まって、この先もうどこにも行けなくなってしまう。

せめて目の前の障害物を全て吹き飛ばすくらいの、強い追い風と伴走できればいいな。せめて、風と。

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