柊戯

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4/13/2023, 8:38:23 AM

蝶になって遠くへ行きたい。

鳥になって遠くへ行きたい。

蝶のようにひらりふわり待って貴方の元へ。

鳥のようにぱたぱた羽ばたいて貴方の元へ。

あぁ、僕は人間がゆえ空を飛べない。

もしも、僕に蝶のように華麗な羽があれば。

もしも、僕に鳥のように華麗な翼があれば。

遠くの空へと羽ばたけたのだろうか。

あぁ、神様。

どうか、僕に蝶のような華麗な羽を

どうか、僕に鳥のような華麗な翼を

授けてください。

そうすればあなたの元へ華麗に飛んでゆきましょう。

あぁ、人間なんて辞めて生まれ変わりたい。

待っていてくださいね。

必ず貴方をお守りすることを誓います

3/1/2023, 6:34:54 PM

「愛してる」

何度も聞きなれた心のない感情。

毎日身体の欲望を重ねるだけの日々。

愛してるなんて、言われたくもない。

「私も愛してるわ」

それでも心のない感情を返すのは唯のエゴだろうか。

彼が寝たのを確認しベランダに出て煙草を一服する。

「愛してる、ねぇ」

口に出してみても何も生まれやしない。

「バカな男ね。私は、、何なのかしら」

気がついたら頬に雫が伝っていて煙草からは火が消えていた。

「私は、欲望を吐き出すための道具なのかしら」

「誰がそんなこと言ったの」

後ろから声が聞こえては何かに包まれる感覚に陥った。

「っ。起きていたの」

「今起きたのさ」

そう言って抱きしめてくる彼は微かに震えていた。

「ほんとにバカな男ね、こんな私を選ぶなんて」

「君もバカな女さ。1人で溜め込むなんて」

どちらともなくキスを交わし部屋の中に向かう。

そして今度は心のある感情で身体の欲望を重ねた。

「愛してる」

「私もよ、愛してるわ」

そう呟いてそっと手を重ねた。

ぎゅっと握りしめて夜が明けるのを待っている。

ベランダには火の消えた煙草と缶コーヒーが2人を祝福していた。

「愛してるわ」




お題「欲望」

3/1/2023, 5:02:26 AM

「いらっしゃいませ。本日はどう言ったご要件で?」

1人の客が迷い込んできたのは思い出の店。

「探してるんです。遠い街という本を、、」

女性は少し俯き気味に探している本の名前を言った。

「そうですか。少しお待ちください」

「はい」

彼女が返事したのを聞きカウンターへ戻っていく。

そして1つのダンボールから古い1冊の本を取り出す。

「お待たせ致しました。こちらですかね?」

「はい、これです」

「ではどうぞ。もう手放さないでくださいね」

「はい、では」

そうして客は帰っていった。

大事そうに本を抱えて。

ここは「思い出の店」

誰かの思い出の品物を預かっておく場所。

「今度こそお幸せに、、」

そしてカウンターへと行き1つの写真を取り出した。

「母さん、父さん、いつ戻ってくるんです?」

1人の青年はそっと呟き涙を一筋零した。

ーカランコロン

また誰かが思い出の品を取りに来たようだ。

青年は笑顔で受け入れた。

「いらっしゃいませ。本日はどう言ったご要件で?」

彼は思い出の店のオーナー。

思い出を自ら消した小さな青年。

彼の思い出は、、どこへ行ったのか。

そして遠い街へと彼は彼の店は消えていったのだ。

「ありがとうございます。またのご来店を」

今日もまた思い出を求めて、、さまよって行く。