羞恥心が強いひとって生きづらい。
ひとの悪口をよく言う、陰でひそひそ笑うなどの傾向が強いと勝手に分析してる。
かくいう私は、羞恥心は強くない。
大胆不敵という言葉があるけど
まったくその通りだと思う。
鈍感は、強い。
いつもどんと構えた自分になりたい。
羞恥心だけやたら高くて、人の話が好きで、自己開示しない人間は
私にとって魅力が薄い。
次に生まれ変わっても「人間」がいいな、と思ってきたけど撤回しよう。
この世は修行の場。
素晴らしい「人」は「人」になんか産まれてこないのだと。
天国で魂のまま、永久に幸せに暮らしてる。
どんな美貌や富を備えて産まれてきたとしても、この世に産み落とされた時点で「負け組」なのかもね。
素晴らしい人格者ならば、はじめからこの世にいない。
この世なんかに、はじめから期待してはいけない。
そう言えば、この世で積んだ徳は、あの世に持っていけるという話。本当だろうか。
私、もう二度と人間にはなりたくない。
この人生が終了したら、なにも考えなくてよくて
お腹もすかなくて何も食べなくても死ななくてトイレも行きたくならない、永久にふかふかの寝床で何も考えずに夢見心地で
すがた形をもたずに、誰とも話さずに、静かに息だけしていたい。
嬉しい楽しいことを探すのに努力するのは疲れた。
楽しいこともなくていいから、何の心配もしなくていい世界に
誰か私を連れていって。
柚子の香り
デート中。彼女からふわりと柚子の香り。
彼女が黙ってうつむきながら
ハンドクリームを手の甲に塗っていた。そして、クリームは手のひらにも念入りに塗られていく。
そしてその横顔は、退屈と語っている。
「ああ…」僕は察した。「脈ナシ」だな。
せっかく予約してとりつけた彼女とのディナーデートだった。
でも、彼女にとって僕は恋人対象にはなれなかった。
これからこのレストランを後にする。
差し出した手を「さっきハンドクリーム塗ったから」と笑いながら拒否する彼女の顔がイメージできてしまったから。
今夜こそは手を繋ぐつもりだったのに。
焦ってはいけない。まだ試合は終わったわけじゃない。
でも、ほんの彼女の仕草ひとつで
僕はこんなに心をえぐられている。
#皮
皮が剥けるのは痛い。
でも、ひと皮むける のは喜ばしいこと。
自分の限界を超えること。
それは多少身を削る思いもするけど
むけたことで現れた新しい自分に
すがすがしい風がふいて肌がひんやりするような、ちょっぴり誇らしい気持ちになる。
#寂しさ
寂しさを感じない人っているのだろうか。
時折ものすごく寂しさに駆られることがある。
寂しくて、不安な気持ち。
どんよりと心を覆う厚い雲。
寂しさの正体を暴いてとことん向き合うのも悪くないけど、それって時間がかかりすぎるから
紛らわせばそのうち雨雲のように去っていってくれるものではないかな。
ただ、雨雲はまたやって来て
予感通りイヤな雨を降らすだろう。
でも、何事もなかったかのように
張りつめた緊張の糸がほろりほろりとほどけていく安堵の瞬間も待っている。
人はその繰り返しに疲れを覚えながらも、楽しみを見出だして生きていこうとする。
誰しもが。死ぬまでずっと。