もんぷ

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4/6/2025, 9:51:24 AM

好きだよ

好きの反対って何だと思う。
嫌いでしょ。
じゃあ好きだよの反対は。
嫌いだよでしょ。
ううん、違うよ。好きの反対は無関心なんだよ。
あー、なんか聞いたことあるかも!じゃあ好きだよの反対は無関心だよってこと。
いやいやそれは違うよ。関心を持ってない人にわざわざ無関心だよなんて言わないでしょ。
じゃあ好きだよの反対って結局何なの。
へぇー、勉強になります。
はぁ、なにそれ。
好きだよの反対。勉強になりますなんていってる人の大半は相手に対して無関心だし勉強になるなんて思ってないってこと。
…へぇー、勉強になったわ。
ちょっと!

4/4/2025, 11:08:22 AM



 桜が綺麗で、君も綺麗で。もうそれだけでいいやって感じ。調子に乗らせたくないので本人には言わないけど。今も自分の髪に桜がついていたのがかわいいなんてバカにしてくる。こんなかわいさのかけらもないぶさっとした男に綺麗な桜がアンバランスだと言われたみたいで腹立たしい。何をしなくても派手な君に見合うように派手な髪色にしてみたり耳に穴をあけてみてもどこか自分に自信を持てない。こうして隣を歩いているのも学生時代の自分にとっては信じられないのだ。この居場所を守ることができるならなんだってする。
「お花見したいなんて風流だね。そんな発想無かったわ。」
「…別に普通じゃね?桜綺麗だし。」
「そうかなー。私はごはんの方が楽しみなんだけど。」
「あー、色気より食い気?」
なんてからかいながらも、これだけ満開の桜より自分の作ったお弁当を楽しみにしてくれているのが嬉しくて、喜んでいるのがバレないように桜を見るふりをした。

4/4/2025, 10:23:36 AM

君と

 君といたいなんて言えば喜ぶから言ってやってるだけなのに、自分だけじゃないと分かった途端に面倒くさくなる。あんだけ喜ばせてあげて、欲しい言葉をかけてやったんだからそれぐらいは我慢しろよ。溜まったLINEの未読件数とインスタの通知に目を通す気になれなくて携帯を閉じる。なんか全部だるい。最近立て続けに一人、また一人と自分の元を去った。どうやら他の女と会ってたのが気に食わなかったらしい。一人は「私だけじゃなかったの?嘘つき!」とひたすら罵声を浴びせて、思わず涙が滲むほどのビンタの末に家を飛び出していった。もう一人は、泣き崩れて嗚咽で言葉を紡げないほどだったので落ち着くまで介抱してから家に帰した。ギリ腫れてはいない右頬をさすりながら正反対のタイプだったなーと思い返してあくびをする。別に何人でもいるからいいやと気にしてはいないけど、この生活をいつまで続けるんだろとぼんやり不安でもある。
 単純に一人になるのが嫌で、女の子はみんなかわいい。たまに面倒くさいけど。だからこの生活を続けてる。この行為がすごく好きかと言われればごく普通の成人男性並みだとは思うけど、夜を一人で過ごさない理由になるから使わせてもらっている。半分くらいはそういう気分だから、もう半分は乗り気ではなくとも寂しいから。そんな俺の我儘をこれからも誰かが叶えてくれますように、なんて言える立場じゃないけど。

4/2/2025, 11:18:07 AM

空に向かって

 空。かわいいかわいい妹。顔が似ていると言われることが多いが、自分達では似ていないと思っている。そもそも空にとっては兄と顔が似ていると言われて良い気はしないだろう。空は昔から自分のあとをつけまわしてくるのがとてもかわいかった。自分がピアノを習えば空も習い始め、水泳も、習字も、ダンスも…真似しようとしてもやはり年齢のハンデがあるのか、空は苦手なことが多かった。それでも置いてかれないようにと人一倍練習する空がかわいくてまぶしくてたまらなかった。
 そんなかわいい空が、ある日好きな男に振られたとすごく落ち込んでいた。どうやらクラスの男子にからかわれてひどい言葉をかけられたらしい。自分が中学に入って学校が離れてしまったせいで空を守れなかった。悔しい。許せない。空に向かってそんな言葉を投げかけた奴らが許せない。空はかわいくて優しくて明るくて綺麗で正しくて…そんな空を傷つけるなんてありえない。というかもう空を傷つけるような奴は近寄らせない。空にはおれさえいればいい。そう思っていた。
 空は男性不信が強まり、ついに自分と話せなくなった。いつものような弾ける笑顔が見れなくなった。なぜだ。おれが空に何をしたっていうんだ。男というだけでシャットアウトされるならもうやりようがない。自分が姉なら今でも空の一番近くで慰めてやれるのだろうか。それなら、女に生まれれば良かった。自分は空と生きるために生まれたのだから。空を守るために生きているのだから。いつかそのことを空に伝えることができる日が来ることを願う。

4/2/2025, 9:38:19 AM

はじめまして

 「はじめまして」と言われればこちらも「はじめまして」と返す。日本人として当たり前のコミュニケーション。例えこっちが知っていても。
 習ったことは無かったけど、小さい頃から踊ることが好きだった。パソコンを買い与えられた中学一年生からはYouTubeで色んな音楽に触れてより一層のめりこんだ。なんかの流れで町内の小さなイベントで踊らせてもらうことになって、当時好きでよく踊っていた曲をステージの上で披露した。二十人もいないくらいのパイプ椅子の埋まり具合だったがすごく緊張した。踊っている間の記憶はほとんど無くて、気がついたら曲が終わってお辞儀をして帰るところだった。裏に戻ると最前列で記録用にカメラを構えていたスタッフさんがさっきの自分のステージの動画を見せてくれた。そこには緊張で顔が終わっている自分とごちゃごちゃしているダンス。振りを覚えてなんとかやりきっているもののとても人に見せれるような完成度ではない。恥ずかしくてそそくさとその場を後にしようと市役所の方へ歩いていた時、一人の女の子が駆け寄ってきた。同い年、いや、小学生六年生くらいだろうか。
「あの、さっき踊ってた人ですよね?」
「え…あ、まぁ、一応…」
「ダンスすごく素敵でした。あの、サインもらえますか。」
「え…さ、サインですか…?」
こんな一般人にサインなんてあるものか。そう思ったけどダンスを褒められたのが嬉しくて渡された単語帳の後ろのページに適当に名前をそれっぽく書いた。
「えーと…これで、いいですかね?」
「はい!ありがとうございます…ファンになってもいいですか。」
「ファン…はぁ、そんな大層な人間じゃないんですけどいいですか。」
「大丈夫です。」
「あ、ありがとうございます…あ、じゃあ…さよなら。」
「はい。では、また。」
女の子は満足そうに去っていった。

 それから五年後、紛れもなくその女の子が自分の前に現れた。まさか同じ高校、しかも部活動の後輩になるとは。
「はじめまして。」
「はじめまして。」
自分のファン第一号の彼女は当時と変わらぬ笑顔で自分にそう挨拶した。自分だけ覚えていることに少しだけ恥ずかしかったが、この子のおかげでダンスを嫌いにならずに済んだ。自分を嫌いにならずに済んだ。いつかこの子が思い出した時にはありがとうと伝えよう。

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