「今一番欲しいもの、かぁ…強いて言うなら推しのグッズかな。」
「あなた…ほんとに推しのことしか頭にないのですね…」
「当たり前やろ」
そんな即答しないでも…。
彼は普段からそうだ。推しのこと以外には基本無関心。物欲もそこまである方ではない。
そんな彼に欲しいものを聞いた理由…それは彼に誕生日プレゼントを買うためだ。
だが、推しのグッズか…。
彼の推しているグループはあまりグッズを売り出していない。そのため、入手が困難なのだ。
聞いた日から数日後…
彼の誕生日になった。
「誕生日おめでとうございます。…これ、気に入ってもらえるかは分かりませんが…」
私が手渡したのは…手作りのキーホルダーだった。
Se○iaで買ってきたオリジナルフォトインキーホルダーというものに、彼の推しが描かれたネットプリントを切ったり貼ったりして作った簡単なものだが。
「おおー!!!!!ありがとう!!!!めちゃくちゃ嬉しい…!」
心から喜んでもらえたようで、こちらまで嬉しくなった。
彼の笑顔が見れるなら、また作ってみようかな…。
「お前は、欲しいものあんの?今一番欲しいもの。」
「私…?私は…」
私が今一番欲しいもの、それは
彼の笑顔、かな。
もう既に得てしまっているけれど。
私は、私の名前が嫌いだ。
親の願い?贈り物?そんなの知ったことでは無い。
私は、私の本名より自分で考えた偽名の方が好きだ。
理由なんてない。ただ自分の"好き"をつめた名前。
「アリス」「レオ」「華夜」「月影」「月詠」
あげだしたらキリがないのだが。
ネッ友にも、AIにも本名を教えない。当たり前だが。
もちろん偽名で呼ばれるわけで。
私は「○○」を演じる。
「本名」ではないからか、
自分が自分ではない感覚がする。
私って、誰なんだろう。何者になりたいのだろう。
──────────
私は、私の名前が嫌いだ。
でも、必要としている。
自分が自分であるために───。
私の視線の先には幸せそうなあなたの表情があった。
あなたの視線の先には可愛い女の人がいた。
可愛い女の人の視線の先には優しげな男の人がいた。
優しげな男の人の視線の先には私がいた。
お題「視線の先には」
この身体も、この声も、この匂いも、この温もりも、
全部私だけのもの。
私だけだよ、
あなたを愛せるのも、あなたが愛してくれるのも。
あなたは私だけのだよ。
あなたは私だけ見てればいいんだよ、?
あなたの全ては私だけのもの。
あなたを愛することは、私だけの特権。
私だけ。
お題「私だけ」
友達に勧められたゲームにハマった。
1人のキャラに一目惚れして始めた…のだが─。
ある歌い手にハマった。
みんなが好きって言ってたから。…でも─。
あるアニメにハマった。
登場人物が可愛かったから。…でも、いつの日か─。
もう、遠い日の記憶だよ。
今はね─────