月詠

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「今一番欲しいもの、かぁ…強いて言うなら推しのグッズかな。」

「あなた…ほんとに推しのことしか頭にないのですね…」
「当たり前やろ」

そんな即答しないでも…。


彼は普段からそうだ。推しのこと以外には基本無関心。物欲もそこまである方ではない。

そんな彼に欲しいものを聞いた理由…それは彼に誕生日プレゼントを買うためだ。

だが、推しのグッズか…。

彼の推しているグループはあまりグッズを売り出していない。そのため、入手が困難なのだ。


聞いた日から数日後…

彼の誕生日になった。


「誕生日おめでとうございます。…これ、気に入ってもらえるかは分かりませんが…」

私が手渡したのは…手作りのキーホルダーだった。

Se○iaで買ってきたオリジナルフォトインキーホルダーというものに、彼の推しが描かれたネットプリントを切ったり貼ったりして作った簡単なものだが。

「おおー!!!!!ありがとう!!!!めちゃくちゃ嬉しい…!」


心から喜んでもらえたようで、こちらまで嬉しくなった。

彼の笑顔が見れるなら、また作ってみようかな…。


「お前は、欲しいものあんの?今一番欲しいもの。」

「私…?私は…」



私が今一番欲しいもの、それは

彼の笑顔、かな。


もう既に得てしまっているけれど。

7/21/2024, 12:34:17 PM