ヨルガオ(短編小説)

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10/4/2023, 4:13:28 PM

「お嬢様」

「昔、ダンスのお誘いは求婚の意味だったんですよ」

「差し伸べられた手を取れば」

「晴れて婚姻と言う事になります」

『へー、そうなんだ』

「と、言う事で」

「お嬢様」

「私と、踊りませんか?」

『………ふふ』

『貴方らしいお誘いね』

『…いいわ。踊ってあげる』


ー踊りませんか?ー

10/3/2023, 2:47:21 PM

貴方と巡り会えてよかった。

そう言う自分と

貴方と巡り合いたくなかった。

そう思う自分がいる。

私を受け入れてくれなかった時、

「楽しい思い出をありがとう」

そう言いたいのに、心では

「こんな事になるなら、貴方と会いたくなかった」

そう思ってしまう。

私は変ですか?


ー巡り会えたらー

10/2/2023, 10:40:25 PM



       神様  お願いです


         どうか


   この子が無事に産まれてきますように



ー奇跡をもう一度ー

10/1/2023, 3:25:32 PM

「さよならだね」

今思えば

全部、君の策略だったのかもしれない。

君と僕は毎日のように一緒に帰った。

でもそれは、全て黄昏時だった。

黄昏時ってさ、

人の顔が一番見えない時間らしい。

それを知ってか、

君は毎日この時間を選んで帰ってた。

太陽を背にして、

逆光で顔をはっきり見せないようにして。

…だからかな。

あれだけ話したのに。

あれだけ一緒に帰ったのに。

君の顔が、はっきり思い出せないんだ。


ーたそがれー

9/29/2023, 2:58:13 PM

病気で娘が他界した。

まだ7歳だった。

妻のいない俺には、娘しか居なかった。

棚いっぱいに飾られた写真。

どれもこれも病室で撮られたものばかり。

俺は娘に何かしてあげられただろうか。

娘は生前、幸せだったのだろうか。

もっと何かしてあげられたはずだ。

娘は昔っから無理をさせていたな。

あの楽しそうな声や笑顔も

作られたものだったかもしれないな。

…こんなに静かな病室、初めてだ。


ー静寂に包まれた部屋ー

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