泡沫夢幻

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10/16/2024, 6:40:10 AM

ぼくが嫌いだ、あなたが嫌いだ。ねえだって、そうやって言い訳を重ねた結果がこれだ。醜い。なんともみっともない。嗚呼、世界よ。どうしてこんなにも四肢を動かすのは難しいのだ?疑問に疑問符を添えただけで鋭く睨みつけられて精神はすり減るばかり。あなたを削って生きてきたぼくが、削られて生かされている。ごめんね、嫌いになんてなれなかったけど。まだ今だけはあなたを嫌悪させて

5/26/2024, 5:18:09 PM

……まただ。今日も寝れない。薬を喉に流し込んでもいい匂いのアロマを焚いても癒しの音楽を流しても寝れない。眠気はあるのに、横になってるのに、眠れない。また一睡も出来ぬ寂しき夜を過ごすのか。満月が此方を自分勝手に照らし微笑んでいる。そんな柔らかい光を浴びせるなよ。俺が惨めに見えるだろ。なぁ、頼むよ。…どうせなら、其方側まで連れてってくれよ。

/ 月に願いを

5/14/2024, 10:17:47 AM

暖風が丁寧に手入れされた長い黒髪をふわりなびかせる。静かな水音を立てながら気ままに流れてゆく川にのせられたつぼみを遠目に眺めながら、橋の柵に軽く腰を乗せてそっと息を吐いた。住宅街から離れた人目の少ないとある小さな川、平日の早朝に人がいるはずもなく。きらきらと眩しい太陽が散りかけの桜を照らす。まるで、宝石のように。透き通った花びらが綺麗で思わず見惚れてしまう。白い腕を伸ばして触れてみようとするけれども、柵から離れなければいけないほどの距離から手を振っている桜に触れれるわけがなくて。そっと腕をおろし、諦めに微笑んだ。

/ 風に身をまかせ

5/13/2024, 1:27:42 PM

ずっと昔から、変わらずに好きだったものが私の掌からどんどん零れ落ちていった。零れたというよりかは、私の掌がいっぱいになったせいで好きなものだけが溢れていった。どれも大切なもののはずなのに時間は有限で、全てを愛しきれるほどのキャパシティは自分にはなかった。キミといれる時間が何よりも嬉しかったのに今じゃ全然会えないね。私の知らない声で、私の知らない話を、私の知らない人と話しているキミをどうしても好きになれない。寂しさを紛らわすために別のものを愛してみようとするけれど、脳裏に焼き付いているキミの笑顔。裏切った気持ちになりたくなくてキミの傍に出来るだけいられるようにするけど、キミは私以外を瞳に映しているから私は独り。嗚呼、なんて孤独なんだろう。こんな醜くて綺麗な桜、咲かなきゃ散ることもなかったのに。

/ 失われた時間