泡沫夢幻

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ずっと昔から、変わらずに好きだったものが私の掌からどんどん零れ落ちていった。零れたというよりかは、私の掌がいっぱいになったせいで好きなものだけが溢れていった。どれも大切なもののはずなのに時間は有限で、全てを愛しきれるほどのキャパシティは自分にはなかった。キミといれる時間が何よりも嬉しかったのに今じゃ全然会えないね。私の知らない声で、私の知らない話を、私の知らない人と話しているキミをどうしても好きになれない。寂しさを紛らわすために別のものを愛してみようとするけれど、脳裏に焼き付いているキミの笑顔。裏切った気持ちになりたくなくてキミの傍に出来るだけいられるようにするけど、キミは私以外を瞳に映しているから私は独り。嗚呼、なんて孤独なんだろう。こんな醜くて綺麗な桜、咲かなきゃ散ることもなかったのに。

/ 失われた時間

5/13/2024, 1:27:42 PM