『とりとめもない話』
「ねー、あのさ、聞いてるー?」
その人は手に持っていたネイルキットを横目にじとりと俺の顔を見た。
はぁ、とため息を付くとネイルキットを下ろし、机に顎を乗せ、上目遣いで俺を見ていた。
「あんたさー、早く学校、来てよ、
あんたいないと授業つまんないんだけど」
そんなわけない。
こいつには沢山の友達がいて、先生にも慕われて、つまらないなんてことはないだろう
横に置いてあるフルーツの山のひとつを手に取ると、彼女は手馴れた手つきで皮をむいた。
「……今度、マック行こって、言ってたじゃん、もう、期間限定の、終わっちゃったし……嘘つき……早く目を覚ませよ、このバカ」
無機質な電子音と酸素を運ぶ音だけが、彼女の耳に届いていた。
『風邪』
俺は、皆から嫌われる存在だった。
何が、ダメなのか自分でも分からなかった。
いや、本当は、分かっていた。
思ってもないことを、口走ってしまう。
その上、何人の人も傷つけた
そして、何人の人も巻き込んでしまった
もう、俺の周りには黒く染った奴らしかいない。
どれだけ足掻いても、取り繕っても、真っ黒に染まってしまう。
まるで、伝染していくように。
『雪を待つ』
ふと遠くの山々を見れば紅葉から雪山へと移り変わり、
冷たい風が私の頬を撫でた。
この季節になれば心做しか胸がぽっかりと、何か空いた空虚な気持ちになる。
そんな空白を真っ白な雪は埋めてくれる。
私をも覆い隠さんとする雪は秋を隠し、春を待つ。
そんな雪を、ずっと待っている。
そして、いつか私に春の日差しが来ることを願って──
『イルミネーション』
空を見あげれば、それは、まるでイルミネーションのようにキラキラと輝いていて、雪が白い息で解けて──
星はまるで泣いているかのように光って、そして、雪のように解けていく
人は時が過ぎるのを待ち、光りは届くのを待つ
でも、そこに、光はずっとあって、私もここにいる。
私は冷たくなった手をそっと握りしめた。
誰にも言えない秘密
あなたの事が好きでした
これが言えたら、今、僕は楽だったのかな