『とりとめもない話』
「ねー、あのさ、聞いてるー?」
その人は手に持っていたネイルキットを横目にじとりと俺の顔を見た。
はぁ、とため息を付くとネイルキットを下ろし、机に顎を乗せ、上目遣いで俺を見ていた。
「あんたさー、早く学校、来てよ、
あんたいないと授業つまんないんだけど」
そんなわけない。
こいつには沢山の友達がいて、先生にも慕われて、つまらないなんてことはないだろう
横に置いてあるフルーツの山のひとつを手に取ると、彼女は手馴れた手つきで皮をむいた。
「……今度、マック行こって、言ってたじゃん、もう、期間限定の、終わっちゃったし……嘘つき……早く目を覚ませよ、このバカ」
無機質な電子音と酸素を運ぶ音だけが、彼女の耳に届いていた。
12/17/2024, 12:06:10 PM