ストック1

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10/24/2025, 11:28:36 AM

それをあけてはならない
謎多き秘密の箱
なぜあけてはならないのか
中に何が入っているのか
あけたら何が起こるのか
秘密だから誰にもわからない
どこにあるのかさえも
ただ、言い伝えだけが村に残っている
「秘密の箱は秘密のままでなければならない
その秘密を探るべからず
その姿を探すべからず」
僕はその禁断の秘密に魅せられてしまった
どうしても秘密を解き明かしたい
たとえ、何が起こるとしても
村のみんなの協力は得られない
みんな、秘密の箱を恐れているから
ただ、ひとりだけ協力を得られそうな人がいた
僕の祖父だ
僕と同じく、好奇心旺盛な祖父なら、わかってくれる
しかし、祖父の返事は意外なものだった

「ダメだ
秘密の箱だけは探るな」

普段穏やかな祖父にしては、珍しく凄みを感じる言葉だった
驚いた僕は恐る恐る、理由を聞いた
祖父はとても言い出しづらそうにしていたが、僕の目を真っ直ぐと見たあと、深いため息をついて話し始めた

「あの言い伝えはな
俺が子供の頃に考えた作り話なんだよ
今で言う厨ニ病?とかいうやつだ」

祖父によると、当時読んだホラー小説に影響されて、それっぽい話を友達と一緒に作ったそうだ
そこで話を終わらせておけばよかったのだが、親世代になった時、ふと思い出して懐かしくなり、まかり間違えてその話を子供たちに広めてしまった
そしたら、祖父と共に話を作った友達までふざけて村の言い伝えとして語り始めた
こうして村の言い伝えとして、秘密の箱が出来上がったのだという
なお、祖父以外の友達はみんな亡くなっているため、もはや秘密の箱の秘密を知るのは祖父だけだ

「あんまりにも恥ずかしいから、墓場まで持っていくつもりだったんだ
お前も、秘密の箱のことは……少なくとも俺が逝くまでは誰にも言わないでくれよ?」

僕は秘密の箱の秘密を知ったことを深く後悔した
やはりこういうことは解明しないほうがいいのだ
あえて解き明かさないロマンもあるのだと、僕は知ったのだった

10/23/2025, 10:47:35 AM

無人島に行くならば、何を持っていく?
ただしひとつだけだ

「船」

それだと話し終わっちゃうよ
無人島観光になっちゃうよ?
だいたい船舶免許持ってないよね君

「藤○弘、」

たしかにサバイバルできそうな雰囲気あるけど、人はだめだよ
サバイバルできる人は反則だよ
人間以外でいこう

「遺書」

諦めるな!
だいたい誰が読むのそれ?
見つかる前に朽ち果てちゃうよ

「楽に死ねる薬」

だから諦めるなって!
また死ぬ方向になっちゃったよ
生き残る方向で考えようよ!

「四次元ポケット」

いやいや、現実的なものにしてくれないかな?
ド○えもんのひみつ道具ならなんとでもなるけど、現実に存在しないでしょ?

「無人島へひとつだけ持って行くシチュエーションも現実にねえよ」

……それはごもっとも

「だいたいさぁ、俺そういうどうでもいいもしもの話題をガチガチのルールで縛るのってどうかと思うんだよね」

……言いたいことはわかる

「まあ、つまり俺は無人島へは行きませんってことで
行くならあれだね、都会の雑踏の中へ夢だけを持って行くね」

なんかかっこいいなぁ
無人島の話を強制終了させられたけど
話題振る相手間違えたなこれ

「アメリカンドリームってやつさ」

日本じゃないんかい
夢がビッグだな

10/22/2025, 11:06:15 AM

秋風は飽きとかけて、男女の愛情が冷めるさまを表す言葉でもあるらしい
飽きたから別れるって、かなりクズみたいな理由じゃないか?
俺は恋愛とかわからないから、なんとも言えないけどね
ただ、こんなに心地良い秋風をそんなネガティブな意味で例えるのも、なんだかなと思う
それはともかく、俺の何メートルか先で男性が女性の前で膝立ちしながら、バッグで思いっきりはたかれている
会話を聞いていたが、女性の方が相手に対して付き合っててあまりにもつまらないから別れたいと切り出し、男性の方が別れないでほしいと懇願
そして今、膝立ちして手を合わせる男性に、女性がしつこいとバッグを叩きつけたのだ
修羅場だな
つまりこの二人、というより、女性の心に秋風が吹いてしまったんだろう
あまりに衝撃的で刺激の強い場面だったので、俺は自分の心を守るために、秋風について考えている
目に映る光景を秋風の話題と絡めることで、どうでもいい話だと思い込もうとしているわけだ
そもそも、赤の他人の俺にはどうでもいい話なんだけど、目の前で繰り広げられたら普通に嫌でしょ
俺は傷つきやすいので、こういう場面はダメ
さっきから地獄の空気を感じているので、とっとと踵を返して立ち去ることにした
ここは公園で、子供も来るのだから身の振り方はお互いよく考えてほしい
ああ、吹く秋風が気持ちいいな
俺は何も見なかった
見たとしてもそれは悪い夢だ
秋風とともに過ぎ去っていく夢の記憶なんだ
俺は自分にそう言い聞かせながら、公園を出て別の安らげる場所を目指した

10/21/2025, 11:21:19 AM

私は耳が尖っていて、そのせいで小学校高学年くらいからずっとエルフなんて呼ばれてた
なんで尖ってるかはわからなかったけど、エルフって呼び名は好きじゃなかったんだよね
まあ、いちいち否定するのも面倒くさいから、放置してたけど
私が超絶美人なのも、エルフと呼ばれる理由のひとつだと思う
ん?
いやいや、ナルシストではないよ
別に自分に惚れてるわけじゃないから
事実として、言ってるんだよ
え、モテたかって?
モテたね
学生時代は性別問わず告白された
全員断ったけどね
んでさあ、30歳くらいの時かな?
なんか自分に違和感を感じ始めたんだよね
実を言うと、もう少し前……就職したくらいから予感はしてたんだけど、その予感が確信に変わったっていうか
久しぶりに高校入学の時の写真見たらさ、顔が全然変わってないの
全然!
たしかにね、20代の間ずっと中高生に間違えられてたんだよ
でも、そんなわけないと可能性をあえて封じてきたわけ
ただ、15年前の顔のままだったら、さすがに封じきれないでしょ?
さらに周りから、なんか精神年齢が高校生くらいだよね、なんて言われてさあ
体も心も成長してないってことに気づいたの
もうそうなったら、自分が正真正銘のエルフだって認めるしかない
思えば、私の両親は孤児の私を引き取ったって話だったし、血縁上の両親って不明なの、私
この世にエルフがいるのか、異世界から紛れ込んだのかわからないんだけど、とにかく私は間違いなくエルフ
ってことで、今私はちょうど100歳ね
全然子供っぽいでしょ?
見た目も未だに15歳くらいだし
人間年齢だとまだ未成年っぽい
ま、エルフなんて他にいないから、正確なところはわかんないよね
そんなところかな
あ、奢ってくれるの?
奢るほど面白い話だとは思えないけど
でもありがと
そういえば、私の寿命ってどれくらいかなぁ
1000年単位だよね、たぶん

10/20/2025, 11:07:52 AM

ふわふわフレンズ!

ポメちゃん「たいへんたいへん!」

タヌたろう「どうしたんだいポメちゃん?」

ポメちゃん「友達のメェーカちゃんがシシぞうたちにお金を巻き上げられちゃった!
どうしよう?」

タヌたろう「それはたいへんだ!
でも大丈夫!
こういう時は、仲間を呼んでシシぞうたちを囲んで、落とし前をつけさせるんだ!」

ポメちゃん「落とし前?」

タヌたろう「そう!
お友達のメェーカちゃんがお金を巻き上げられて、ポメちゃんはシシぞうたちのことをどう思った?」

ポメちゃん「許せない気持ちでいっぱいだよ!」

タヌたろう「そうだね
だからその思いを物理的にシシぞうたちにぶつけて、晴らすんだ!」

ポメちゃん「でもでも、復讐はダメだってみんな言ってるよ?」

タヌたろう「その通りだよ
ポメちゃんはよくわかってるね!
でも、これは実は復讐じゃないんだ
友達を傷つけた連中に対して、二度と舐めたマネができないくらい徹底的に痛めつければ、今度から安心して過ごせるでしょ?
落とし前をつけさせるっていうのは、そういうことなんだ
逆に落とし前をつけさせなかったら、メェーカちゃんもポメちゃんも舐められて、こいつらには何をしても反撃されないんだと付け込まれちゃうんだよ」

ポメちゃん「なーるほど!
これは復讐じゃなくて、わたしたちが安心して過ごすために必要なことなんだね!
じゃあ早速仲間を集めて、シシぞうたちのところへ乗り込んでシメてくるよ!」

タヌたろう「ポメちゃんたちが容赦なくしっかり落とし前をつけさせれば、シシぞうたちもきっともう悪さをしなくなるよ!
頑張ってね!」

ポメちゃんは「うん!
ちゃんと落とし前をつけさせてくるよ!」


たまには教育番組でも見てみようかと気まぐれに視聴したけど……
何だこの内容
こんなものを幼児に見せて大丈夫なのか?
こんな恐ろしい番組がまかり通るなんて、この国はいったいどこへ向かうんだろう

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