ストック1

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10/2/2025, 11:41:03 AM

まだ遠い足音
しかし、確実に近づいてきている
もう少しスピードを上げたほうがいいか?
いや、体力はまだ残しておきたい
仮に追い越されたとしても、それは遅れているのではなく、ペースが違うだけ
問題はない
最後、先にゴールできていればいいのだ
足音はもう真後ろまで来ている
あと十数秒で追い越されるな
抜かされた
だがあの速度で飛ばせばすぐにバテてしまうだろう
俺は無理をせず、終盤に速度を出せるように体力をある程度温存する
そうすれば食らいつける
ん!?
ちょっと待て、そこでジャンプするのか!?
そこにショートカットがあるのかよ!
どうりでなかなかこのゴーストに勝てないわけだ
このコースにはまだ俺の知らないショートカットがあったようだ
タイムアタックのゴーストを真似して、俺もショートカットを試みる
進入自体は簡単だった
ただ、非常に見つけづらそうだと思う
目印はあるのだろうが、わからない
ここを利用すれば、タイムを相当短縮できるぞ
たまたまゴーストがショートカットする場面を見られて運が良かった
俺はこだわりで攻略サイトとかを見ないから、他プレイヤーの常識でもわからないことが多い
だから、タイムアタックのゴーストでテクニックやショートカットを知るのだ
ショートカットのことなんて考えてなかったから、ペース配分を活かせず今回も負けたが、次は勝てるだろう
対戦でも良い成績を残せる気がする
俺は満足しながら、VRゲーム「ハイパーマラソン」を終了し、ゴーグルを外すのだった

10/1/2025, 11:25:58 AM

秋の訪れはまだだ
なぜかって?
夏が居座っているからだ
帰ろうという気配は感じる
感じるのだけれども、帰らない
帰ってほしいんだけど、まだいたいらしい
夏が帰らないせいで秋は近年、いる日数が少ない
私は秋が一番好きなのに、一年の中でかなり短い間しか会えない
暑すぎるから夏は大嫌い
もともと大嫌いなところに、さらに秋が訪れる邪魔をするから、輪をかけて嫌い
秋と会える期間が短いので、七夕の織姫と彦星の気持ちがよくわかる
あっちは一年に一回だから、私のほうが圧倒的にマシだけど
冬ももう少し遅く来ればいいのに、さっさと秋を追い出して居座ろうとする
そして夏同様、いつまでもいて春にまで迷惑をかける始末
一年中秋なら天国なのに
そんなこと考えてても、実際のところ各季節は絶対に必要なんだけどね
夏には夏のよさがある
わかってはいるけど、暑さがあんまりにもひどいよね
だから秋の訪れを今か今かと待ちわびているって部分もあるわけで
愛しの秋はいつ来るのやら
もうすぐ来るとは思うけど…早く会いたいな

9/30/2025, 12:29:00 PM

旅は続く……というのは困る
俺はもう旅をしたくない
過酷すぎる
勇者になったのだって、血筋のせいだし
元々、そういう器じゃないんだよ
ザコと呼ばれるモンスター相手だって怖いのに、ドラゴンだのキマイラだのと戦えるわけないでしょ
周りからのプレッシャーもひどい
新たな町に行けば勇者様勇者様と声援を受ける
道具や薬、武具の割引サービスだって自主的にやってくれるし、宿も驚きの低価格
そんな中で期待を裏切ったらどうなるか
それが恐ろしすぎて旅をやめることができない
でも、倒すべき敵であるアークデーモンを討ち滅ぼすまで耐えるのは無理だ
自分の心が追い詰められているのを感じる
俺にもっと勇気があったら……
そんな風にすら考えない
なぜなら、俺は勇気があろうとなかろうと、平穏にいち民草として暮らしたいから
誰か、勇者を代わってくれ
もう嫌なんだ
勇者の栄光も、使命を果たしたあとの輝かしい人生も、全部あげるよ
だから俺を勇者の肩書から解放してくれ


ある日、俺の前に魔王が現れた
今は仲間とは別行動中だ
魔王は過去に勇者と争ったが、その後和解した魔族の国の王だ
王と言っても、政治には基本的に関わっていないらしいけど
魔王は俺のネガティブな感情に反応して、ここまで来たという
そういう能力が魔王にはあるのだ
なんのために魔王は俺のもとへ来たのか
どうやら、俺から勇者としての使命を引き継ごうと思ったらしい
けど、勇者は血筋で覚醒する存在
魔王が勇者になれるのか?
疑問に思っていると、魔王は衝撃の事実を告げた
初代勇者と初代魔王は、夫婦だったらしい
和解後に、互いに惹かれて結婚したそうだ
魔族の政治に魔王がかかわらないのは、初代魔王が勇者のもとへ行ったから
普通、基本的に自由な生活の勇者が魔王の元へ行きそうだけど、魔王は王をやめたかったらしい
その後、子供の一人が魔族の国へ行き、王としての権力のない二代目魔王になったと
なので、魔王にも勇者の血が流れており、資格があるとのこと
魔王は俺に、今までよく頑張った、もう怯えながら戦う必要はないと告げた
俺はその心強く優しい言葉に、涙が止まらなかった
ようやく、苦しみから解放される

魔王は俺を勇者でなくすために、ある薬を渡してきた
これは、ある魔族が仮病を使いたい時に開発した、原因不明の重い病(命に別状なし、一ヶ月ほど高い発熱、激しいだるさの症状が続く)にかかる薬だと説明された
仮病のために開発なんて、魔族の情熱は変な方向にすごいな
俺は薬を飲むと、説明の通りの症状が出た
こうなってはもう旅の続行は不可能
魔王はその後、偶然町を訪問した体を装って、新たな勇者となった
ちなみに、魔王は度々国を抜けて旅行しているため、なんの不自然さもない
仮に怪しまれても、病気に倒れた勇者の感情に反応して来たといえば信じてもらえるだろう
こうして、俺は魔王のおかげで勇者の重圧から逃れ、仮病で一ヶ月倒れ伏すことになったのだ
魔王はその一ヶ月でアークデーモンを討ち滅ぼし、世界に平和を取り戻してくれた
俺は勇者として称えられることはなく、静かで平穏な毎日を、ひとりの民として過ごしている
かつての仲間とはたまに会っているし、魔王とも交流したりしているから、勇者になったからといって、悪いことばかりではないと思う
勇者にならなければ、みんなと今みたいな関係を築けなかっただろうから
でも、もうあんな旅はごめんだ
俺は今の毎日を大切にしたい
そう心から思う

9/29/2025, 10:55:31 AM

どうやら僕はモノクロの世界に迷い込んでしまったらしい
周囲のすべてに色はなく、僕自身の姿もモノクロになっている
なんとも不思議な光景だ
昔のモノクロ映像や写真なんかは見たことがあるが、自分がその中に入ったかのような体験をできるなど驚きだ
だが、妙に落ち着く感覚がある
僕はこのモノクロの世界が気に入っていた
見えづらいことがあっても、すぐに慣れていく
人の適応能力というのはすごいものだな

この世界でしばらく過ごしたが、モノクロというのはとても静かだと思う
音の話ではなく、目に映る景色がうるさくないのだ
そう感じて初めて気付く
僕はどうやら、カラフルというものに疲れていたのだな、と
こんなに心穏やかな気分で生活したのはいつぐらいぶりだろう
もしかしたら、これまでの人生の中で一番穏やかなのかもしれない
気分はとても爽やかで、心地いい

モノクロ生活を満喫していたある日、ふと、心の中でウズウズした感情が芽生えるのを感じた
僕はなんとなく、その正体がわかっていた
このモノクロの世界へ迷い込んだのは、疲れていた僕の心を誰かがリフレッシュさせてくれようとしたからなのだと思う
その誰かが誰なのかは知りようもないが
ただ、僕の中で芽生えた感情は、もう休息は満足するまでとれたと言っている
色鮮やかな景色へ帰りたい
僕の感情はカラフルな世界を望んでいた

僕はモノクロの世界というリゾート地で休みをとっていただけ
いくらいい場所でも、毎日いたら飽きてくる
ここは僕の旅行先であって、安住の地ではないということだ
休暇を満喫した僕は、思い残すことなく、元のカラフルな世界へと帰った
叶うなら、疲れた時はまた訪れたい
あのモノクロの世界に

9/28/2025, 10:38:23 AM

生物の命
星の寿命
そして宇宙まで
あらゆるものに永遠なんて、ないけれど
絶対に永遠は存在しないのか?
永遠がないとしたら、終わりの後はどうなるのだろう?
すべての始まりは存在するのだろうか?
存在するとして、その前はなんだったのか?
始まりの前にも、終わりの後にも、何もないのだとしたら、いま存在している世界はなんなのだろう?
有限とはいったい……
永遠とはいったい……

とかそういうことを考え始めると、頭がおかしくなりそうなのでやめました
いやぁ本当に、知識もないのに素人がそんなことを考えちゃダメですよ
思った以上にストレスがたまりますから、こういうのは
考えてもわかるわけないし
そんなわかりもしない、答えも出ない難しい話を考えるより、今日の夕飯をカレーにするかパスタにするか考えたほうがよっぽどタメになるでしょ
それか、対戦ゲームの戦略を考えるとかね
永遠がないんなら、今を思いっきり楽しむのがお得です
考える意味のない話でストレスをためるなんて、時間的にも心にとっても、もったいないことこの上ないですから
もっと自分が幸せになることができるといいと思います
あんな難しい問題は専門家に取り組んでもらうのがいいですよ
専門家ですら頭を抱えるような話題は無視して今日は……そうですね
前から気になっていたカプセルトイでも回しに行きますか
ついでにクレープ屋へ久々に、お気に入りのクレープを食べに行くのも最高じゃないですか?

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