ストック1

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1/23/2025, 10:18:57 AM

君のことがとても眩しい
くすんだ俺と違って、強く輝いている
心の瞳をとじてしまえば、見ずにいれば楽なのだろう
だが俺は、瞳を見開いて君を見る
君の今の姿こそ、俺が目指すところだからだ
君を見ている限り、くすんでしまった俺でも、輝けるのだと思うことができる
そのおかげで、俺は苦しくても上を目指せるんだ
だから友よ、待っていてくれ
必ず君に追いつく
いつか君のとなりに立てるように、肩を並べられるように、俺は頑張ることをやめないから
痛いほど眩しくても、瞳をとじたりせず、君を標にしながら、たとえくすんでいても、磨き続ければ輝けるということを証明するよ

1/22/2025, 10:20:36 AM

あなたは「何もいらないよ」、なんて笑いながら言ってましたけどね、そうはいきませんよ
私は是が非でも、たとえ天地逆となって西からライジングサンしてもあなたへの贈り物を渡しちゃいますよ!
「そんなの悪いよ」じゃないんです
これはね、私のために、私が勝手にやることなんです
私がただ、あなたに贈り物がしたいだけなんですよ
そこにあなたが悪いと思ったり、恩を感じたりする隙間なんてものはありません!
断言します、ありません!
というか、お願いします
私はあなたへの贈り物がしたくてしたくてたまらないんです
私の望みを叶えるために一役買ってくれませんか?
ほんと、もらってくれたら、恩に着りますから!
ん?ここまで言ってもまだ悪いと感じてるんですか?
じゃあもうこれは強制です、命令です
私は贈り物がしたいので、黙って受け取りなさい!
……ようやく受け取ってくれましたね、ハァハァ、ゼーゼー
まったく、なんで贈り物するだけでこんなに苦労しなきゃならないんですかもう!
それじゃあ、最後にこれだけ言っておきますよ!
ハッピーバースデイトゥーユー!

1/21/2025, 11:07:16 AM

この深く、日中でも暗い広大な森は、羅針盤で方角を見なければ抜け出せないし、目的地へもたどり着けない
コンパス?
いやいや、羅針盤って言ったほうがかっこいいじゃん
私たちは、この羅針盤を命綱にして、財宝伝説のある遺跡を探していた
何度も迷いそうになったけど、その度に羅針盤で方角を確認、古びた地図と照らし合わせ、修正していった
そして私たちはついに遺跡を発見するのだった
フハハ、財宝ゲットだぜ
あ、いや、もちろん調査目的だし、財宝も歴史的価値に着目しているんだけどね、フヘへ
まあ、遺跡を発見しただけだし、まだ気が早いけど
私たちは警戒しながらも、早速、遺跡の調査を始めた
探索を進めると、すぐに財宝が眠っていると思しき部屋に当たった
どうやら罠の類は無いようでホッとしたけど、当時は荘厳であっただろう見た目の割に中は単純な造りだったな
私は仲間とともに、明らかに財宝入ってますアピールをしている、とてもわかりやすい豪奢な、長い時を経たとは思えないきれいな宝箱を、錠を突破して開けた
中には、え?文字の彫られた石版?
思ってたのとは違うけど、絶対に歴史的価値の高いものなので、慎重に取り出し、解読してもらった
曰く

『こんなところに一人で来る愚か者はいない、というか、たどり着けるわけがないので、君たちは仲間とともにここまで来たのだろう
さて、君たちはここに財宝目当てで来たと思う
しかし、ここには財宝なんて何もない
なぜなら、仲間とともに達成した事実こそが、君たちにとっての宝⸺』グチャッ!

最後のは私が羅針盤を地面に叩きつけ、破壊した音である
財宝がないって?
あはは、なめてるのかな?
言いたいことはわかるけど、財宝あっての達成感でしょうが!
なんにもない遺跡に仲間と一緒に苦労してたどり着いて、よかったねーてなるかあ!
怒りに震える私だったが、ふと、自分が致命的なミスをしたことに気づいた
命綱の羅針盤、壊しちゃった
待って、私たち財宝もない遺跡に来てこのまま遭難して死ぬのか!?
犬死にならぬ無駄足死にじゃん!
などと慌てていると、仲間が自分の懐から羅針盤を取り出した
あっ、全員一つずつ持ってるんだった
私以外の仲間は全員冷静に、とても冷静に石版を持ち帰るべく準備をしている
あれえ?財宝に熱意があったの私だけ?
みんな淡々と作業してるんだけど
こうして、私だけがとてつもなく疲労した状態で、ふざけた遺跡をあとにするのであった

1/20/2025, 11:16:02 AM

この世は一方通行だ
人は皆、過去に、今に、別れを告げ、明日に向かって歩く
でも、あの時こうしていればとか、過去を変えられればと思うこともあるだろう
私もそうだ
深く後悔したことに対し、戻ってやり直せればと考えたことは、数えるのも馬鹿馬鹿しいくらいにある
だが私はある時、不思議な何者かによって、時間を遡る力を手に入れた
この力で、今よりも幸せになれるかもしれない
そう思い、後悔を解消するため、力を使った
そうして運命を変えるために奔走した結果、私はもとの運命よりも不幸な結果へ至った
こんなことになるとは予想外だ
もう一度やり直そう
今回は考えうる最善の行動をとりながら、万全の態勢で動いた
だが、私の努力を嘲笑うように、私はまた不幸に……いや、不幸を通り越して絶望的な状況に追いやられる
その後も何度もやり直したが、元々の運命よりも幸せな状態にはならなかった
最後に私は、覚えている限り最初と同じ行動をとることにした
一番気を使い、非常に不安だったが、おかげで私は元の運命に戻すことに成功する
もう、あんな思いをするのはごめんだ
この力は捨てることにしよう
時間を遡っても、幸せは掴めない気がする

力を捨てた私に、ある考えが浮かんだ
もしかしたら、私は充分に幸せだったのかもしれない
ただ、そのことに気づいていなかっただけで
あまりに後悔の多い私に、あの力を与えてくれた何者かは、後悔するとしても、自分の進んだ道を信じろと、そう言いたかったのだろうか

この世は一方通行だ
人は皆、過去に、今に、別れを告げ、明日に向かって歩く
でも、あの時こうしていればとか、過去を変えられればと思うこともあるだろう
私もそうだ
だが今は、そんなふうに思いたくなってしまうような過去も、決して無駄ではないと思えるようになった

1/19/2025, 11:17:33 AM

ある日、彼女は世界から忽然といなくなった
僕の前に現れた狐のぬいぐるみのような生き物によると、彼女は別の世界に飛ばされたらしい
本来いるはずのない世界に、別の世界の人間がいると、同一人物が二人いる矛盾から、その世界にも本人にもよくないことが起こるらしい
狐のぬいぐるみ生物……狐ぬいから、安全に世界を渡り、留まれる魔法をかけてもらい、僕は様々な世界を旅することになった
彼女を見つけ出すために

別の世界の彼女に出会った
若くして大企業の社長になったらしい
その情報網で目撃情報を集めてくれた
最後に彼女が目撃された場所へ行くと、別の世界へのゲートが現れた
狐ぬいによると、このゲートを通った形跡があり、もうこの世界にはいないらしい
僕たちはゲートをくぐり次の世界へ
その世界の彼女は、世界を守る変身ヒーローだった
ヒーローなら何か知っているのではと思い、事情を話すと、なんと、すでに出会っていたという
話によると、彼女は何かを探して自ら自分の世界を出たとのことだった
この世界をすでに去ったようだ
その後も別の世界の彼女たちの力を借り、痕跡を辿った
繰り返すうち、わかったことがある
彼女は僕のいた世界の人間ではない
そして彼女は、自分の故郷を探していたのだ
僕の世界に彼女が問題なく留まれたのは、その世界に、別の彼女が存在していなかったから

ふと思う
君が故郷を見つけたら、僕は君にもう会えないのだろうか?
その世界で暮らすのだろうか?
それは困る
僕はまだまだ君と色々なことをしたいんだ
頼むから、僕の前からいなくならないでほしい
たくさんの世界を旅して、たくさんの君と出会ったんだ
でも、僕はどの君もしっくりこなかったよ
やっぱり、僕のよく知っている君が一番いい
君と一緒にいたい
どの世界の君とも違う、ただひとりの君へ、この思いを伝えよう

ついに彼女を見つけた
そこは植物に侵食されて廃墟と化したビルが並び、僕と彼女以外に、誰も人はいなかった
この世界の人類は、彼女を除いて滅んでしまったようだ
狐ぬいは、最後の人類である彼女を、この世界の住人が何らかの技術で、僕の世界へ逃したのだろうと言った
そういえば、彼女は養護施設で育ったんだった
彼女はある日、世界を渡る力に目覚めたのだそうだ
それと同時に、この世界の技術なのか、自分の出自と、力の使い方を瞬時に知った
そして頭の中で、両親の映像が流れ、世界が安定したら帰っておいでと言っていた、と話してくれた
だが、この状態を見るに、きっともう……
僕には、彼女が何を思い、どんな心境なのかは想像もできない
どんな言葉をかければいいかもわからない
だけど僕は、伝えたかったことも忘れて、その時思っていたことを、そのまま口にした
それが正しい言葉なのかはわからなかったけど

「帰ろうか、僕たちの世界へ」

彼女はうなずくと、静かに微笑んで、僕とともに元の世界への帰路についた
狐ぬいは、それを見届けると、満足そうな顔をして僕たちに別れを告げた
狐ぬいが何者なのか、よくわからなかったけど、おかげで彼女を見つけられた
僕も、感謝しながら別れの言葉を言い、彼女と二人で狐ぬいを見送るのだった

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