クリスマスの過ごし方かい?
私は毎年同じように過ごしているよ
他人が幸せそうにしているのを見るのがとても好きでね
夜の街に繰り出して、カップルや夫婦、家族連れや友人同士などが楽しそうに歩くさまを眺めているんだ
この日はとてもいい
今を楽しんでいる人を多く見ることができる
クリスマスプレゼントなんてものは私には必要ない
ただ、クリスマスを楽しむ人々が見られれば、それで満足だよ
そしてそれを糧にして、その後の一年を頑張ろうという気になることができる
他人にもっと優しくなれる気もする
もしかすると、これがクリスマスプレゼントなのかもしれないね
私のもとにサンタクロースは来ないが、私にとっては幸せそうな姿を見せてくれる彼ら彼女らが、サンタクロースのようなものだ
私の目には、道行く人々がイルミネーションにも負けないくらい輝いて見えるよ
今はクリスマスイブの夜
もうすぐ、クリスマス期間の最も重要なイベントが起きる
周りに秘密にしているが、御年23歳の俺は、サンタを信じている
誰がなんと言おうと、俺はサンタはいると信じているのだ
いないほうがおかしい
そして、一年間善行を積めば、プレゼントだって貰えるはず
サンタはそういう存在だからな
え?サンタはよい子でいた子供にしかプレゼントを渡さない?
ちょっと何言ってるかわかりませんね
そんなの都市伝説だろう
プレゼントに歳なんて関係あるか
とにかく、イブの夜は興奮して、そわそわして、眠りにつくのが大変だ
プレゼントは楽しみだが、プレゼントを受け取るためには早々に布団に入って、朝まで眠らなければならない
なぜか、中学にあがったくらいからプレゼントが届かなくなったが、きっとよい行いが足りなかったのだと思う
今年はたくさん頑張ったので、貰えるだろう
さあ、今日は早く寝なければ
明日が本当に楽しみだ
朝起きたらサンタからのプレゼントが枕元にあるはずだからな
すでに枕元になにか置いてあるように見えるのは、きっと普段の生活で疲れているのだ
もう眠ったほうがいいな
二万円、我が予算!
財布の紐、解放!
君に相応しいプレゼントは決まった!
欲しいは欲しいけど自分のお金で買うのはちょっとためらうと言っていた、前衛的なぬいぐるみ!
買いに行きたいけど、子供っぽくて入るのがちょっと恥ずかしいと言っていたお店の、キュートな限定ぬいぐるみ!
そして、発表時から絶対に買いたいと熱く語っていた、例のイラストレーターの新作画集特典付き!
喜べ、クリスマスプレゼント、三連弾ッ!
今年の君はとっても頑張ったから、お姉さんちょっとだけ奮発しちゃったぞ!
気にしなくて大丈夫、君は今年、メチャクチャ偉かったからね!
それを称えてのことだから、自分自身を誇りに思うといいよ!
さあ、気の済むまでプレゼントを存分に楽しみたまえ!
冬至でゆず風呂入り忘れたから、ゆず柄のTシャツを着て、ゆず柄の短パン履いて、ゆずの帽子やゆずのアクセサリーを身につけたんだ?
ゆずの帽子なんてあるんだね、初めて知ったよ
この時期に半袖短パンって寒くないの?
ああ、平気なんだ
あと、さっきからゆずの香りが漂ってるけど、香水つけた?
普段つけてない気がするけど
え、今もつけてないの?
塗ったの?
使うつもりだったゆずの果汁を?
色々と大丈夫、それ?
まあでもゆずの香り、いいと思うよ
よほど冬至の日にゆず風呂入れなかったのが悔しかったんだね
そんなにゆずが好きなわけでもないみたいだけど、冬至のゆず風呂は大好きなんだ?
特別感あるもんね
あ、ゆずも持ってきたんだね
本格的だね
けっこう香ってくると思ったら、ゆずそのものも持って来てたんだ?
重そうだけど、トートバッグにたくさん入ったゆずはなかなか壮観だよ
一個くれるの?
ありがとう
うん、いい香り
ところで、ゆず風呂だけど、一日くらい入るのずれてもいいと思うよ?
ダメなの?
こだわりがあるんだね
じゃあ、また来年、忘れないように頑張ろう
私?
私は入ったよ
すごくリラックスできた
そうだね、ゆずの香りで気持ちよくリラックスしたかったよね、ゆず風呂入れなくて残念だったよね
来年の冬至、忘れず入れるといいね
我は大空を翔ける、人からドラゴンと呼ばれる存在だ
はるかな昔、人々は我を恐れ、近寄ることはなかった
様々な自然災害の原因を我の怒りに求めるなどし、我に対して祈りや供物を捧げるなどしていたが、正直、我に祈られても困る
供物もたいして美味くないしな
せっかくだから食べたが
それから後の時代には、勝手に災害の原因にした上で、我を討伐しようとする不届きな輩が現れ始める
我を討ったところでお前たちの問題は解決しないと言っても聞く耳を持たん
ふざけおって
どこにでも自分たちの不都合の責任を他者に押し付けて、解決した気になる連中はいるものだ
殺す気はなかったので、大迫力の火炎放射を間近で見せるにとどまったが、それで恐れをなして逃げていったわ
さらに時代は進み、人間界では様々な研究が進み、災害の仕組みもある程度わかってきたらしい
供物だの討伐だの、言ってくる者はいなくなった
その代わり、我を研究したいという人々が現れた
我は痛かったり、おかしなことをされるのは嫌だったのだが、そういったことはせず、色々と話をしたり、負担にならない程度に生態を調べさせてほしいと言うので、熱意に負け、我は承諾した
人との会話や文化に興味もあったしな
研究者たちとの会話は楽しく、我は充実した日々を送れた
ある日、我のもとへ最も熱心に通う一人の研究者が、遠慮がちに空を飛びたいから背中に乗せてくれないかと頼んできた
安全を確保した上でならいいと返事をすると、研究者は喜んだ
人間は空を飛べないから、憧れるのだろう
そうして研究者を乗せて、空を飛んだが、なんと、彼は気絶してしまった
少し速すぎたようだ
しかし、研究者は気絶しないように頑張るから、また乗せてほしいと言ってきた
まあ、彼が望むなら、我はかまわぬが
そうして何度か空を飛ぶと、研究者は慣れてきて、気持ちよく楽しむことができるようになった
こうして、この大空を誰かと楽しく飛ぶなど、昔は考えもしなかったが、こういうのも悪くない
飛んでいる最中、研究者が我に名はないのかと尋ねられた
我に名はないと答えると、つけてもいいかと聞かれた
我は彼を友と思っていたので、彼から名をつけられるのならば、それはとても喜ばしいことだ
我は承諾した
彼は前もって考えていたらしき名を我につけた
我がいつも翔ける「空」を意味する、「シエル」、と
シエル、か
我に相応しい、素晴らしい名だ
我はこれからも、友と空を翔けよう