冬は一緒にコタツにでも入ってさあ、ゴロゴロしていようよ
寒い時は動かないに限るよ
あんまり体温下げたり、気温の低いところにいると命に関わるからね
それに、コタツはあったかいよ
すんごく気持ちいいよ
とっても心地良いよ
誰もコタツの魔力には逆らえないんだからさあ、諦めて寒さを忘れてゴロゴロしようよ
一度入ったらヤミツキだよ?
だいたい一人でコタツに入ってゴロゴロしてても暇なんだよね
話し相手とか欲しいわけよ
え?そんなのに付き合う気はないって?
どっかへ出かけたいの?
まあ、そっちが嫌ならいいんだけど
でもねえ、外に出て後悔しても知らないよ?
寒空の下、ブルブル震えて、鼻水垂らしながら、ああ今頃あいつは温かいコタツでぬくぬくしてるんだろうなあ、なーんて考えて、惨めな気持ちになるかもよ?
私とコタツに入ってゴロゴロしてれば、寒さとは無縁だし、私との会話も弾んで楽しいよ?
それでもあなたはコタツに入らず行っちゃうのかな?
私とコタツでぬくぬく仲良く喋るほうが、賢い選択だと、私は思うな
……あ、行っちゃった
本当に行っちゃったよ
あーもう、こっちはものっすごく暇だけど、コタツは温かいし外は寒いしで、もう出られない状態なのに
北風でも吹いて、寒さに凍えながら後悔しろ!
……暇だなー
さっきまでたくさんいたはずなのに、どこへ行ってしまったのだろう
ハトはいつの間にかいなくなっていた
食事の時間を終えて飛び去ったのだろうか
私はボーッとしていたらしく、いつハトがいなくなったのか、わからない
なにか少し寂しさを覚える
ハトで賑わっていた景色は、私以外、人すらいない空白になっていた
そういえば、ハトを見て何かを思いついたはずだが、私は何を思いついたのだったか
全く思い出せない
よほどボーッとしていたのだろう
記憶からこぼれ落ちてしまったようだ
文字ではなく絵や図の類だった気がする
記録しておこうと思ったのだが、あいにく紙やペンは持っていなかった
残念だ
大した思いつきではなかった気もするが、その判断は思い出さなければできないだろう
今ここに、ハトの姿は無く、記録する紙とペンも無い
とりとめもない話
鳥とメモ無い話
(昨日の「雪を待つ」の続き)
はっはっはっ
笑っちゃうよ
雪を見られたのはいいけど、結局風邪をひいたね
でも後悔はしていないよ
初めて雪というものを見られたんだから
風邪ひいたってことは私はバカじゃなかったんだね
「お前はバカではないだろうが、別にバカでも風邪はひくだろ
あと、今度はもっと防寒対策しような
雪だるま作ったあと、また風邪ひいたら大変だからな」
うん、そこは反省点だよね
どうも私はそういう計画性が足りないところがある
正直言って、あんなに寒いとは思わなかったな
「で、大丈夫なのか?」
大丈夫といえば大丈夫かな
体温は高いけど、思ったより辛くないよ
でも今、家に誰もいないからほんの少し心細いね
「それで電話かけてきたのか
俺で心細さが紛れるなら、いくらでも付き合うぞ」
君、けっこう優しいよね
友達思いだし
君が他人にはっきり文句言ってるところとか、見たことないよ
意見する時も、相手が嫌な気分にならないような言い方が多い気がするし
「急にどうしたんだ?
風邪で弱って俺が聖人にでも見えたか?」
かもしれないね
でも、私は普段から君のことを本当にすごいと思ってるよ
なんで友達が少ないのか、わからないな
みんなの愛されキャラにだってなれそうだけど
「俺は本当に気の合う少数とつるむのが好きなんだよ
誰彼かまわず友達になるってのは、俺の趣味じゃないからな」
私がその少数の内のひとりになれたのは、光栄に思ったほうがいいのかな?
「俺はそんな大物じゃないぜ」
そうかな?
私は大物だと思うよ?
「はいはい」
さて、通話はこのへんにしておくよ
ありがとう、おかげで少し元気になれた
「もういいのか?」
うん、気分の悪さがだいぶ和らいだよ
「そうか、それはよかった
じゃ、お大事にな
もう一回言うけど、来年、雪が積もって雪だるま作る時は、寒さに気をつけろよ」
うん、それじゃあ
「またな」
風邪ひいたのなんてすごく久しぶりだから、すごく気分が下がったけど、なんとか乗り越えられそう、かな
今日は雪が降る気がするって?
十二月にこのあたりの地域で降るわけないだろ
予報だって曇りだし
お前は本当に思いつきで行動するよな
このままずっと雪を待つつもりか?
俺は寒さに強いから大丈夫だけど、こんなところに居続けたら風邪ひくぞ
「私はバカなので、風邪はひかないよ」
急に自虐するなって
お前レベルでバカだったら俺なんて塵カスだよ
おっと、俺も自虐してしまった
ともかく、そんなワクワクした目で空を見ても、降らないっての
奇跡でも起きない限りはな
「奇跡というのはね、不可能とイコールじゃないんだよ
ただ、確率がとても低いだけ
雪が降るのは奇跡かもしれないけど、それは絶対に降らないことを意味しない」
なんか屁理屈の臭いがプンプンするんだが
まあいいや
とりあえずどっか屋内に入って、外が見えるところで待機してようぜ
自販機であったかい飲み物買ってやるから
「大丈夫
私は外で降るところを見たいから、君だけ入っててよ」
あー、わかったよ
お前はどうあっても外にいるんだな
俺は寒くても全然平気だから、お前に付き合うよ
風邪ひいても知らないからな
一時間でも二時間でも、なんなら夜まででも、雪を待ってやる
「ありがとう
早く降るといいけど」
まったくだ
ん?あれ、もしかして
「降ってきたね」
本当に降りやがった
お前、超能力者か何かかよ
「そんなサイコパワー持ってたら、こんなところでのんびりできる生活は送ってないだろうね」
まあ、そうだな
で、どうだよ?
人生初の生で見る雪は?
「思ったよりフワフワした感じで落ちていくんだね
なんだか、可愛らしくてきれいだよ」
今日は積もらないだろうけど、来年降ったら積もるかもな
その時は雪だるまでも作るか?
「いいね、作ってみるのが夢だったんだ
大変そうだけど、頑張るよ
楽しみが増えた」
雪道は歩くのが大変だから、気をつけろよ
油断してるとすぐに滑るんだよ
お前、運動とか苦手だから、転ばないか少し心配だ
「うん、気をつけるよ
また、一緒に雪を待ってくれるかな?」
ああ、いいぜ
けど、今度は雪の予報が出てからにしような
奇跡は頻繁に起こらないし、風邪ひいたら大変だろ
「そうだね
不可能じゃないからといって、必ず起きるわけじゃないからね」
お前となら、雪が降るまでただ待つのも、なんだかんだ楽しいんだよな
「奇遇だね、私もだよ」
私は何をやっているんだ
私の全身にはLEDが付けられ、チカチカしながら輝いている
友人にツリー役として、ただ立っていてくれと頼まれた
けっこういい金額が貰えるというので受けたのだが、なんというか、なんとも言えない
公衆の面前でイルミネーションを光らせながら装飾されたもみの木のコスプレはなかなか精神に来るものがある
だいたい木の役って、学芸会じゃないんだから
いや、今日び学芸会だって出番の差はあれど、ちゃんとした役を当てられ、木の役なんて存在しないだろうに
近くでは友人たちがサンタとトナカイをやっている
その横でやはり私は何もしなくていいらしい
もうこんなことするならツリー用意しろよ
しかし友人によると、明らかに人がやってるもみの木が、終始何もせずに突っ立ってるだけというのが、最高に面白いのだそうだ
理解不能
そんな中、なんと私のイルミネーションをきれいだという親子が現れた
私は自分の姿は見られないのできれいかどうかわからないが、どうやら私のイルミネーションに子供が魅入っているらしい
なんか、悪い気はしないよね
友人たちの思考は全く意味不明だけど、こうして喜んでくれる子供がいてくれるなら、やったかいがある
おまけにけっこういい金額貰えるし
私の姿を見て楽しい気分になる人がいるのなら、私は進んでイルミネーション輝くもみの木のコスプレイヤーになろう