意味がないことなどないと人は言う
それは正しいことだろうと思う
一方で、すべての事柄に常に意味があるのか、
と問われれば、
それは間違いなのではないか、とも思える
意味とは、自然に存在するものではなく、
誰かが見出して初めて付加されるのではないか
すべての物事にはもともと意味はないが、
どんな小さなことでも、
人の手によって意味を与えれば、
それは意味のあることなのだと、
そんなふうに思う
きれいな桜の木の下で
あなたとわたしは
花見ではしゃぎすぎて
翌日は動けなくなったけど
楽しかったのでよしとする
モンキーポッドの木の下で
あなたとわたしは
仲良く虫に刺され
地獄を見たけど
結局あとでいい思い出になる
イチョウの木の下で
あなたとわたしは
買ったイベントグッズを確認し合った
ランダムグッズのトレードも成立して
最高にテンションが上がった
大きなケヤキの木の下で
あなたとわたしは
別々の場所へ引っ越すことを告げ
お互い別れを惜しんだけど
また会えるだろうから悲しくはない
きれいな桜の木の下で
あなたとわたしは
お互い地元に戻ってくることになって
久々に会う約束をした
ついでの花見ではしゃぎ過ぎて
翌日は動けなくなったけど
嬉しかったので何も問題はない
嫌なことが続いたあと、
外に出たら雨が降っていた
今日は傘を持ってきていない
こんなところでまで嫌なことが起こるのか
スマホで天気予報を見るに、
どうやらこの雨はまだまだ止まないようだ
しかたがないので濡れて帰ることにした
思いの外優しく柔らかい雨だった
打たれて冷たいはずなのだが、
どこか温かみを感じるような雨だった
そのうち雨に慰められているような、
そんな感覚になり、
まあこんな嫌な日くらいたまにはあるさと
心を切り替えて、
私は帰路につくのだった
一筋の光を見失わないように
暗闇の中で目を凝らす
光が目の前から消えてしまわないように
必死に追い続ける
その光に手を触れることができれば
きっと視界は明るさを取り戻す
そして触れた光を育て
もっと明るくしていくことができる
そう信じて光へ手を伸ばし続ける
暗闇が晴れることを望みながら
明るく輝く未来を求めて
公園で中年くらいのスーツを着た人が
ベンチで疲れきった様子でコーヒーを飲んでいた
哀愁を誘うその姿に
僕は毎日の勉強で疲れ果てた自分を重ねた
なんとなくその人の隣に座り
「大丈夫ですか?」と声をかけた
スーツの人は訝しげにこちらを見たあと
「君こそ大丈夫か?なんだか疲れていそうだ」
と逆に心配してくれた
僕は「大丈夫じゃないかも」と答え
自分が日々の勉強で疲労困憊であること
友達と遊ぶ機会も減って
距離ができてしまったことを話した
スーツの人は「それはよくないな」と言い
自分の過去について喋りだす
自分も昔は遊ぶ時間を削ってまで
必死にたくさん勉強して、
いいところへ進学し、無事就職もした
けれど勉強はできても、
仕事までは順調には行かず、
自分よりも勉強してきておらず、
友達とたくさん遊んできたであろう同期たちに
次々と実力で抜かされていったのだと
その人が言うには、
遊びを犠牲に勉強ばかりしても、
社会で自分を活かすのは難しいらしい
人と交流したり遊んだりすることも大事なのだそうだ
「それぞれのバランスが大事だって、
当時は気づかなかったんだ
後悔してるよ
君はまだ軌道修正できるから、
がんばって勉強しながら、
友達と遊んだり、好きなことにも打ち込むといいよ」
それを聞いて僕は、
自分自身の在り方をもう一度考えようと思った
今までの僕は必死になりすぎていた気がする
スーツの人に感謝した僕はお礼を言って、
「がんばってください
きっとあなたもまだ、
軌道修正していい方向に行けると思います」
と付け加えた
「ありがとう
君を見てたら、なんだかがんばれる気がしてきたよ」
そう言うとスーツの人は、
少し元気になった様子で手を振りながら去っていった